本記事は、川口 幸子氏の著書『FP歴30年の母が20代の娘に伝えたい人生が変わるお金の話』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。
「海外投資」はリスクが高い
「海外の不動産で高利回り!」「外国ファンドで資産倍増!」ーー こんなワード、SNSやYouTubeで見かけたことがあるかもしれません。
実際、海外投資って、なんだかかっこよく聞こえますよね。
円安・物価高が続く今、「日本の資産だけじゃ将来が不安……」という気持ちから、海外に目を向ける若い世代も増えてきました。
でも、お金の専門家として、あなたに伝えたいことがあります。
海外投資は、情報が取れない時点で「危険度マックス」です。
たとえば「フィリピンのコンドミニアムが利回り12%」「タイのリゾート開発案件で3年後に倍になる」など、実際に私のもとにも、そういった投資話に関する相談がよく届きます。ですが、その詳細を聞くと、「物件の所在地が不明確」「契約書が英語で読めない」「日本の金融庁に登録されていない業者」…… と、ツッコミどころ満載です。
● 情報が手に入らない投資はギャンブル
まず大前提として、情報が手に入らない投資は、ほぼギャンブルです。
投資に必要なのは、「いい話かどうか」ではなく、「正確な情報に基づいた判断ができるかどうか」です。その国の法律、税制、経済状況、不動産市場の変化、トラブルが起きた時の対応手段…… そういった背景を自分で調べて、納得できるかどうかが、投資のスタートラインです。
それに、言葉の壁があります。契約書も説明も英語や現地語で書かれていることが多く、内容を100%理解するのは簡単ではありません。
「現地に精通した日本人がサポートしますから安心です」と言われても、その人が信頼に値するのか、万が一トラブルが起きた時にどう対処してくれるのかは、かなり不透明です。
また、こうした案件を持ちかける業者の中には、日本の金融庁に登録していない「無登録業者」も少なくありません。登録されていない場合、たとえ被害にあっても公的な保護の対象外になるため、泣き寝入りせざるを得ないケースも。
つまり、日本で保険に入っていないクルマを運転するようなものーー 事故が起きたら、全責任は自分持ち、という状況です。
● わからないものには投資しない
もう1つ大事な視点。それは、「わからないものにお金を出さない」という、投資の鉄則です。
わからない= 不安になる。その不安を「でも儲かるかも」で打ち消そうとすると、判断を誤りやすくなります。大事なのは、「これは自分がきちんと理解できている商品か?」「リスクが説明されているか?」を自分に問いかけること。
とくに20代は、投資の土台をつくっていくタイミングです。海外投資をするなとは言いません。
でもそれは、もっと経験を積んで、「情報を集める力」「契約を読み解く力」「疑う目線」が育ってからでも遅くありません。焦らず、今はまず国内での基本的な資産形成に力を入れるほうが、よっぽどリターンは大きくなるのです。
「セミナー商法」には要注意!
FPになって30年の中で、様々な講演をしてきました。
気持ちとしては、「役に立ちたい」「お金の知識の大切さを伝えたい」「日本と欧米の資産形成の違いを伝える」「資産形成の大切さを伝える」「知っておくとよい相続のポイント」など、志ある中で行ってきました。
それでも、周りを見渡すと志ある講師もいれば、怪しいなと感じる講師やグループもいました。現代は多岐にわたり様々なお金系のセミナーが存在しています。
「この講座を受ければ、月収100万円!」「成功者のマインドを学べば、人生が変わる!」
SNSや広告で、こんなキャッチコピーを見たことはありませんか?
とくに20代で「お金を学びたい」「早く経済的に自立したい」と思っている人ほど、こうした情報に惹かれるかもしれません。
● 最初は気軽に参加できるセミナー商法
でも、ちょっと待って!
私がこれまで数えきれないほど相談を受けてきた中で、若い人たちが最初に引っかかってしまうのが、この「セミナー商法」です。
もちろん、すべてのセミナーや講座が悪いわけではありません。本当に価値のある知識を届けてくれる場所もあります。問題なのは、「学び」のような顔をしながら、実は「高額な講座を売ること」がゴールになっているケースです。
たとえば、最初は「無料体験セミナー」として、誰でも気軽に参加できるような形で集客します。そして、そこで少しだけお金の話をして、「本当に人生を変えたいなら、今すぐ本講座を申し込んで」と迫られる。
「今日申し込めば特別価格」「席はあと3人だけ」などと焦らせ、判断力を鈍らせるーー これが典型的なやり方です。
実際に、「勢いで50万円以上の講座を契約してしまったけれど、内容が薄くて何も得られなかった……」という相談を、20代の方から何度も受けてきました。
講師の肩書きが「〇〇協会認定」や「資産〇〇アドバイザー」など、一見それらしいけれど実態が不明だったり、経歴がしっかり裏付けられていなかったりすることも多いです。
● 不安を煽るのは学びではなく「販売」
やっかいなのは、「知識を得たい」「何かを変えたい」と思っているあなたの“前向きな気持ち”につけ込んでくること。だからこそ、「これは自分の成長のため」と信じ込みやすい。でも、よく考えてみてください。本当に価値のある学びは、「不安を煽ってお金を払わせる」ような形では届けられません。
契約の前には必ず冷静になって、一度その場を離れることです。
「誰かに相談する時間を取る」のも大切な防御手段です。友人でも家族でも、お金に詳しい人がいれば、なおさら頼ってください。
また、もしも断りづらい空気や強い勧誘を感じたら、それはすでに「学び」ではなく「販売」の場だと考えてOKです。気まずさや申しわけなさを感じる必要はまったくありません。そこで立ち止まれたあなたは、ちゃんと自分のお金を守れています。
知識や経験に投資することは、人生において本当に大切です。
でも、「お金を払うこと」=「価値があること」ではありません。とくに20代は、「誰に学ぶか」「どんな環境で学ぶか」も含めて、慎重に選んでほしいのです。
「必ず上がる株」の話を信用してはいけない
投資に興味を持ち始めたあなたへ。
まず伝えたいのは、「絶対に儲かる投資話なんて存在しない」ということです。
私はお金の専門家として、これまで数えきれないほどの投資相談を受けてきました。
「必ず上がる株って聞いたんですが、どう思いますか?」と質問してくる若い人も少なくありません。でも、どんなに有名な企業でも、どれだけ景気が良くても、相場に“絶対”はありません。
株の値動きは、世界経済や企業業績、政治の変化、SNSでの噂レベルの話題にまで影響されます。「必ず上がる」と言われていた株が、わずか数か月で半値以下になることだって、実際にあります。これが、投資のリアルです。
● 人からすすめられた投資は注意
とくに気をつけてほしいのは、「人からすすめられた銘柄」。それが親しい友人でも、投資系インフルエンサーでも、あるいはちょっと知識のある親戚でも、「誰かがすすめてきた」というだけでお金を出すのは、とても危険です。
なぜなら、その人があなたの損失の責任を取ってくれるわけではないからです。
たとえば、「セミナーですすめられた」「LINEで急に投資話が来た」「副業グループに誘われて……」というケースも増えています。よく見ると、紹介料や販売報酬が発生する“ビジネスモデル”になっていて、あなたのお金を増やすことより、自分が儲かることが目的だった……なんて話も少なくありません。
また、海外の投資案件や、よくわからない新興企業の株など、「今がチャンス」「人より早く動けば得できる」などと急かされる投資話にも注意が必要です。情報が少ない・正確に把握できない時点で、それは“ハイリスク”だと考えるのが冷静な判断です。
大切なのは、自分の目で見て、自分の頭で考えて、自分で納得できる投資をすること。
焦らなくて大丈夫。投資は一生付き合うもの。だからこそ、「自分で決める練習」を今から始めておいてほしいのです。
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