本記事は、上野 泰也氏の著書『本当の自由を手に入れるお金の減らし方』(SBクリエイティブ)の中から一部を抜粋・編集しています。

本当の自由を手に入れるお金の減らし方
(画像=andranik123/stock.adobe.com)

SNSにあふれる幸せは「他人が決めた幸せ」

【娘】純粋に「自分で選ぶ」って難しくない? 知らず知らずのうちに、周りの影響を受けてることもあるでしょう? たとえばSNSってさ、見てるとみんなすごく幸せそうに見えるんだよね。ファッションとかメイクとか好きなインフルエンサーとか。気づかないうちに、私もそういう“好み”にかなり影響されてる気がする。

【父】そう感じるのは自然なことだよ。でも忘れないでほしいのは、それは“他人が決めた幸せ”であって、君自身の幸せじゃないということなんだ。

【娘】他人が決めた幸せ?

【父】そう。SNSにアップされた海外の写真や豪華な料理やブランド品。それらは値段や見せ方で飾られた「他人の基準の幸せ」だよ。しかも、SNSに載っているのはいいところだけかもしれない。極端な話、借金をして買ったもので飾り立てている可能性もある。

【娘】えっ、そんなことってあるかしら?

【父】可能性としてはゼロじゃないだろう? 現実的に考えると、クレジットカードの月払いやカードローンで借りたお金で飾り立てることはいくらでも可能だ。

【娘】言われてみれば……。

【父】だから「キラキラして見える= 本当に幸せ」とは限らない。お父さんの大学時代にはSNSなんてなかったから、他人の生活がこんなに可視化されることはなかった。だから比較対象も限られていた。でも今は、幸か不幸かSNSがあるから、他人の動きが手に取るように見えてしまう。それで余計に「自分は足りない」と錯覚してしまうんだ。

【娘】なるほど。でもやっぱりうらやましくなっちゃうんだよね。

【父】それも自然な心理だ。人は本能的に比べてしまう生き物だから。心理学でも「社会的比較理論」というのがあって、人は他人と自分を比べて満足したり不満を感じたりするそうだ。

【娘】社会的比較理論って難しそう。

【父】簡単に言うと、人間は「他人と比べないと自分の位置がわからない生き物」だということだよ。たとえば君がテストで80点をとったとする。でもクラスの平均が90点だったら「まずい!」と思うだろう。逆に平均が60点だったら「自分は、結構できるじゃん」と思う。同じ80点なのに、周りと比べることで自分の気持ちが変わってしまうんだ。

【娘】あー、それはよくある! 体育祭のリレーでも、去年より速く走れても、他のクラスのほうが速かったら悔しく感じちゃう。いったいどうすればいいんだろう。

【父】一つ覚えておくべきなのは「経済の主役は自分」ということだ。経済は政府や大企業が決めているように思えるけど、実際は一人ひとりの消費や選択の積み重ねで動いている。幸せも同じで、主役は他人じゃなくて自分自身なんだ。

【娘】幸せの主役は“自分”?

【父】そう。SNSで見える「誰かのキラキラ」も、その人自身が自分の基準で選んだ結果にすぎない。君が本当に望む幸せとは別のものなんだ。だから、経済を見る眼が必要なのと同じで、幸せを見る眼も必要なんだよ。情報の洪水にただ流されてしまうと、自分が望んでいない目的地に漂着してしまうことになる。

【娘】でもやっぱり比べちゃうよね。

【父】比べるのは悪いことじゃないよ。だけど忘れないでほしい。人間の比較する心は自分をだますことがある。他人の幸せそうな姿に「自分は足りない」と錯覚してしまうんだ。だから気をつけないといけない。

【娘】確かに。前にプレゼント交換したときも、値段の上限のプレゼントより、友達がくれた手作りのカードのほうが嬉しかったな。あれは値段じゃなくて、気持ちがこもってたから心に残ったんだ。

【父】その通りだ。旅行だって同じだ。高級ホテルに泊まるより、友達とワイワイ泊まった安宿のほうが楽しいこともあるだろう。SNSで映えるかどうかより、自分の心が本当に喜んだかどうかが大事なんだ。

【娘】うん、そうだね。思い返すと、そういう経験のほうが心に残ってる。

【父】だからこそ「他人が決めた価値」に依存すると振り回されるんだ。自分の感性で決めた幸せこそが本物だ。SNSを眺めて楽しむのはいい。でもそれを“自分の幸せの基準”にしてはいけないよ。

【娘】わかった。これからは「自分の評価軸」で幸せを考えるようにする!

【父】良い心がけだ。経済も人生も、主役は自分。その自覚を持っていれば、他人の価値観に振り回されることなく自分の道を歩むことができるんだよ。

本当の自由を手に入れるお金の減らし方
上野 泰也(うえの・やすなり)
株式会社マーケットコンシェルジュ代表。元・みずほ証券チーフマーケットエコノミスト。
1963年青森県八戸市生まれ、育ちは東京都国立市。85年上智大学文学部史学科卒業。法学部法律学科に学士入学後、国家公務員I種試験に行政職トップで合格し、86年会計検査院入庁。
88年富士銀行(現みずほ銀行)入行。為替ディーラーを経て為替、資金、債券の各セクションでマーケットエコノミストを歴任。2000年みずほ証券設立後、25年6月までチーフマーケットエコノミスト。
質・量・スピードを兼ね備えた機関投資家向けのレポート配信、的確な経済・市場予測で高い評価を得て、「日経公社債情報」エコノミストランキングで2002年から6年連続で第1位、その後身の「日経ヴェリタス」エコノミストランキングで2011年、16~21年に第1位(トップは通算13回)。2025年7月にマーケットコンシェルジュを設立、代表に就任。

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