本記事は、河合 由紀子氏の著書『人を大切にするリーダーシップ これからのチームのつくり方』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

人を大切にするリーダーシップ これからのチームのつくり方
(画像=meta_morworks/stock.adobe.com)

面談でやる気を引き出す一言の力

ここまで何度か面談について触れてきましたが、改めて面談について触れてみます。
面談は、単なる進捗報告や評価の場ではなく、メンバーのモチベーションを高め、やる気を引き出すための大切な時間です。
そのためには、しっかりと準備をして、ただの雑談で終わらせないようにしましょう。

人はどうしても他人と比較しがちですが、これではモチベーションが上がりにくいものです。比較するべきは、過去の自分自身です。
面談では、「この半年前と比べて、何ができるようになったと思う?」と問いかけ、本人の口から成長した点を語ってもらいましょう。
自分を客観的に見るのが苦手な人や、自信がなく自己評価が低い人もいます。そんなときは、リーダーが客観的に、メンバーが気づいていない良い側面を具体的に伝えることが有効です。

特に強力なのは、「自分で思っているよりも、周りからは評価されているよ」という第三者からの評価を伝えることです。目の前の上司の言葉だと「気を使ってくれているのかな」と思われてしまうこともありますが、客観的な第三者からの評価は、揺るぎない事実としてメンバーの心に響きます。
他者からの評価で自信を持つことができれば、次に向かってポジティブに考えることができるようになります。
次にうまくいかなかったことを振り返る際、リーダーは「どうすればよかった?」と答えを求めるのではなく、「あの時、どう感じた?」と感情に焦点を当てる問いかけをしましょう。「どうすればよかった?」と問われると、責任を追及され、追い詰められたような感覚に陥り、萎縮してしまうことがあります。
ここで、評価ではない感情に焦点を当てることで、本人の内省が進みます。この時、メンバーが話した内容に対し、良い・悪いの判断を下さず、ただ受け入れる姿勢が大切です。
これにより、メンバーは安心して本音を話すことができ、その結果、自らの口からポジティブな次の行動プランが出てくるのを待つことができるのです。

面談では過去を振り返ることに焦点を当てがちですが、未来の話も同じくらい大切です。

「どんな時にやりがいを感じますか?」と問いかけて掘り下げていくことで、その根底にある価値観を一緒に言語化します。
このプロセスを通じて、メンバーは現在の仕事の意義を再発見できたり、新たにチャレンジしたいことが見つかったりします。
見つかった強みや興味を、次の挑戦にどうつなげるか、具体的な行動計画まで一緒に考えられるとベストです。
答えを急がせないことも、支援です。考える時間そのものが、やる気を育てます。自分とじっくり向き合って考え抜いた結論は、本人にとって強くポジティブなものになっているはずです。

面談は、評価や指示を伝える場ではなく、メンバーの可能性を引き出し、彼らが自分自身と向き合うのを手伝う場です。他人ではなく過去の自分と比較し、感情に寄り添った対話を通じて、メンバーの内なる声に耳を傾けましょう。
答えを急かさず、彼らが納得するまで考え抜く時間を提供することで、メンバーは自ら目標を見つけ、力強く成長していくことができるのです。ゆっくりと考えてもらう場を提供し、ゆっくりと待つこともやる気につながっていきます。

人を大切にするリーダーシップ これからのチームのつくり方
河合 由紀子(かわい・ゆきこ)
1977年、愛知県名古屋市生まれ。情報システム学修士、経営学修士。
IT業界やアドテク業界でプロジェクトマネジメントや人材育成に携わる。その後、ベンチャー企業での社長補佐やCxOの伴走、IPOを目指す企業の事業推進などを経験。
現場と経営のあいだを行き来しながら、「人が自然と動くチームとは何か」を問い続けてきた。
現在は東京情報デザイン専門職大学の非常勤講師として教壇にも立つ。
現場で感じた小さな違和感や気づきを大切にしながら、「管理」ではなく「関係」から動くチームづくりを日々探究。
理論と実務の両面から、会社員・社会人のための「ウェルビーイングな仕事学」研究会を共同主催し、対話を重ねている。

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