原子力発電所の再稼働の是非などで揺れる電力需給。電気代を値上げの申請を電力会社が進めるなど、電力コストの上昇が見込まれている。続出する電気代の値上げの動きに、中小企業も大きな影響を受けそうだ。
ただ、各電力会社の値上げがコストを大幅に引き上げる場合には、雇用機会や設備投資の縮小など負の影響も無視できなさそうだ。このほど、日本商工会議所が中小企業の厳しい見方を明らかにする調査結果を公表した。
同会議所は1月20日、会員企業を対象に行った「電力コスト上昇の負担限界に関する全国調査結果」を公表し、電力費用の上昇には「人員・人件費の削減」で対応するとの回答が50%以上に上ることを明らかにした。ほかにも、設備投資の縮小で対応するとの声も聞かれ、電気代の値上による経済へのマイナスの影響が懸念される実態の一端が示された。
調査結果によれば、2012年11月から1年間で電気代は28.7%の上昇となり、平均で約1000万円の費用増をもたらしたという。具体的には、東日本大震災後1年間は単価で、14.88円/kWh だったところ、19.07円/kWh まで、28.1%も高騰。電気料金の引き上げが中小企業の経営を圧迫している実態が確認されたといえそうだ。
ほかにも調査結果では、電気代の引上げ幅について「1円/kWh以下」の負担増が限界との答えが67.2%と、全体の3分の2を上回る。中小企業自身は、1円を上回る単価の上昇には耐えきれないと認識している様子だ。
電気代の値上げで懸念されるのは、経済へのマイナスの影響で中小企業の大くが「人員・人件費の削減」や「設備増強などの縮小・抑制」で対応すると調査に回答。設備投資の縮小や、雇用機会の喪失とそれに伴う消費の抑制による負の影響が懸念される。
「安価で安定したエネルギー供給はグローバル競争を行う上で必須」との中小企業の声も聞かれるなど、“日本経済を支えている”と言われてきた中小企業をどのように支援していくのか、今後の対応が問われそうだ。
(ZUU online)
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