人口減時代に入り、さらに高齢社会が進展する様相を見せる日本。認知症など高齢者に起こりがちな疾患が注目を集める。その中で、各医薬品メーカーが開発を進めるのが、高齢女性に多い骨粗鬆症を対象とした治療薬だ。国際的な提携や治験を各社が進めており、啓発なども積極的に行われている。
その一つとして、日本イーライリリーがこのほど、骨粗鬆症についての意識調査を行い、「背中の曲がり」「背の縮み」「腰痛」は骨折のサインでもあるとの結果を公表した。猫背や腰痛など比較的一般的な身体症状も骨折の徴だということが示唆された格好だ。
同社の調査によれば、骨粗鬆症で医療機関を受診する前に、20%の患者が「背中の曲がりがあった」と回答。さらに、自分では気づかず、家族や友人など周囲から指摘されて初めて自覚し、骨粗鬆症を疑って、受診する場合もあるという。“猫背”が、高齢の女性では、骨粗鬆症のサインにもなることを示唆する結果だと言えそうだ。
腰痛についても、回答者の60.9%が受診前に、何らかの形で自覚していたという。一見したところあまり関係のない症状からも骨粗鬆症が疑われると言えそうだ。併せて、79%の回答者が「若いころと比べて身長が縮んだ」と答える結果となった。
猫背や腰痛、身長の縮みが骨粗鬆症の可能性を示す兆候だと言えそうだ。
高齢者によくみられる疾患については各医薬品メーカーもビジネスチャンスとみており、提携の拡大や新薬の開発を着々と進めている。
例えば、中外製薬 <4519> と大正製薬 <4581> は骨粗鬆症の治療薬の臨床試験を終えており、昨年秋に「イバンドロン酸ナトリウム水和物」経口剤を薬事申請すると発表している。同医薬品はロシュと共同開発したもので、海外医薬品メーカーも同疾患に注目している様子が窺える。
ほかにも、旭化成 <3407> の子会社である旭化成ファーマは韓国の東亞STと骨粗鬆薬で提携を昨年末に表明した。旭化成ファーマが開発した骨粗鬆薬の「テリボン」の韓国での独占的開発・販売権を、東亞STに提供している。
認知症などさまざまな高齢疾患に注目が集まる中、今後の各社の新薬開発の動向を注視する必要がありそうだ。
(ZUU online)
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