ギリシャ

新連立政権が発足したギリシャでは、27日、新閣僚の発表があった。急進左派のベテラン経済学者のドラガサキス氏が副首相に、財務相には、ヤニス・ファロファキス経済学教授(急進左派連合)が就任した。ファロファキス氏は筋金入りの反緊縮派で、EUの支援条件ではギリシャの経済回復は不可能と主張してきた。国防相には、連立相手の右派「独立ギリシャ人」のカメノス党首が就任する。ちなみに「独立イタリア人」党は、穏健派だが、宗教色が強く保守的といわれている。

国民の意思を反映した選挙結果だが、ツィプラス氏は今後どのように欧州債権国との交渉を進めてくるのだろうか。
選挙で勝利した後、「破滅的な緊縮策から抜け出す」と力強く宣言したツィプラス氏だが、28日の初閣議の演説の中では、「債権団や欧州各国政府との間で最悪の衝突を引き起こすことは避ける」と語った。「最悪の衝突はないが、服従を続けることはできない」とし、支援策が課した緊縮財政の緩和と債務削減へ向け、ユーロ圏債権者との交渉開始に意欲を見せる。「景気支援、経済の再始動の促進が優先課題。債務を減らし、公正かつ実行可能な解決策を見いだすため、交渉の用意がある」と語った。演説では、債務削減のほかに、人道的危機の解消、経済再生などの4項目を優先事項に挙げている。

一方、多くのEU債権国グループは、他の欧州諸国にも影響を及ぼしかねない債務削減は拒否の意向だ。依然ドイツは緊縮策を伴わない支援の継続に慎重で、ショイブレ財務相はギリシャ支援について「ギリシャ総選挙による、救済の状況や取り決めへの変化はない」「債務削減は問題外」と発言した。ユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長は、会合を前に債務削減など支援内容の大幅な変更は認めない方針を示しているが、「現時点で次の段階は固まっていない」とし、本格的な協議はギリシャの新政権が明確な方針を決めた後になると述べる。ギリシャが緊縮財政支援策を支持し、経済再建策を推し進めてくるなら、返済期間や金利など小幅な見直しなど、柔軟な対応が望めるだろう。両者妥協可能な条件を探って協議が進められることになるだろう

28日の現地ニュース報道は、ファロファキス・ギリシャ財務相が、来週ローマでパドアン伊財務相と、2月2日にはパリでサパン仏財務相と会談予定があると伝えた。サパン財務相は、ギリシャの選挙結果は欧州の緊縮政策を見直すべきことを示唆していると語っている。また、イタリアニュース各誌とのインタビューの中でファロファキス氏は、ギリシャが成長へ転じる可能性があること、そのためのユーログループと協議し得る計画について説明している。現実的な協調路線が確定することを願うばかりだ。

(ZUU online)

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