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日本全国の好きな自治体に寄付をすることで、お礼として豪華な景品がもらえることで注目を集めているふるさと納税。利用者の目線だと、ついつい納税の見返りに豪華な景品がもらえる制度だという印象を持ってしまいがちだが、このふるさと納税は安倍内閣が掲げる地方創生政策にもリンクした戦略的な税制の一環である。ふるさと納税制度が目指すもの、そこから得られる意義について考察した。


ふるさと納税が地方経済に有形無形の寄与

自治体への寄付に対するお礼として用意されている特典を見ていると、まるでお取り寄せグルメやカタログギフトのような豪華さを競い合っている様子が窺える。1万円の寄付に対するお礼には5,000円相当の品物が含まれている自治体もあり、これだと自治体にとっての収入は半分しかない。果たしてこれで自治体の財政に貢献したと言えるのかという指摘がある。

金額面だけを見ると、自治体への応援を前提とした寄付を『半返し』しているようでは、自治体の発展に半分しか寄与できてないようにも見える。

しかし、自治体にとっての本音はこれとは違う。仮に寄付金の半分程度をお礼として返したとしても、地場産業にお金が流れて地域経済の活性化に貢献することは事実だ。それが地域の雇用を生み、過疎に悩む自治体であれば人口流出に歯止めを掛ける切り札になるかも知れない。

この論法だと、仮に寄付金と同じだけの価値を持つお礼を提供したとしても、地域にお金が落ちるのであれば是とする自治体が登場しても不思議ではない。

総務省の発表によると、すでに2012年の時点で寄付金の総額が130億円を突破しており、ふるさと納税が少なからぬ経済的なパワーを持ち始めているのは間違いなさそうだ。


税金の使い道に関与できる制度

次に、ふるさと納税がもたらした副産物として納税者の意識変化が挙げられる。ふるさと納税は寄付という形をとっているものの、実質的には好きな自治体に納税する制度と解釈されている。納税は居住地の自治体にするものという常識を覆し、好きな自治体を応援したいという気持ちを納税で表現できるのは納税の多様化につながる。

また、多くの自治体では寄付金の使い道を公開しており、中には寄付金の使い道を指定できる自治体も存在する。従来、納税者が税金の使い道をチェックする方法は選挙しかなかったのに対し、直接的に税金の使い道に関心を持ち意思決定に関与できることは納税意識の質的向上が期待される。


自らの『ふるさと』以外の地方に関心を持つ機会

ふるさと納税は、その名称から自らの出身地としての『ふるさと』に納税ができる制度だと誤解されることがある。これは事実ではなく、日本全国の都道府県および市町村のどこであっても寄付という形で実質上の納税が可能だ。

自治体が提供しているお礼や特典が目的であるとしても、日本全国の自治体、とりわけ過疎地域などに対して関心を持つ機会として有効に機能している。地方創生政策を形のあるものとするためには、まず地方に関心を持つことから始めるのがセオリーだ。ふるさと納税は、その第一段階において役割を果たしていると言える。

(ZUU online)

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