日系家電メーカー大手のソニー <6758> は2月18日、2015~17年度の中期経営計画を発表し、2012年に策定した第1次経営計画で主な目的とされた構造改革から、高収益体制の実現フェーズに移行する現状を説明した。
同社の中期経営計画については、平井一夫氏が社長に就任してから、2度目の策定となる。2年前の中期経営計画を見直した計画を同社は公表。平井社長はその中で、ROEを主な経営指標として、収益性の向上を改めて図っていくとの考えを述べた。
平井社長はROEを主要な指標に掲げた背景について解説。以前は売り上げ規模の拡大を目指しがちで、売上高や利益率の議論になっていたが、事業領域ごとに異なるアプローチがあり、各領域により適した方法があるのではないかという議論があったなどと、収益性向上を図るにあたってROEを指標にあげた理由が説明された。
さらに、今回の中期経営計画の策定にあたり、同社は事業ポートフォリオの位置づけの明確化に注力。収益性の向上を目指すために、3つの主要領域が列挙。2月上旬に生産能力増強のための投資の実施を公表したCMOSセンサーなどのデバイス分野、プレイステーションネットワークなどのゲーム&ネットワーク分野、映画分野、音楽分野が成長牽引領域として、位置付けられた。
また、同社長は2017年の経営数値目標として「ROEが10%以上」、「営業利益率5000億円以上」を目指すと明言した。今後、目標の達成に向けて着実に進捗できるか、業績が下降線をたどるのか、引き続き注視していく必要がありそうだ。
ほかにも、安定的に収益を稼ぎ出す領域として、イメージング・プロダクツ&ソリューション分野と、ビデオ&サウンド事業を列挙。同事業でソニーは着実な利益を計上し、キャッシュフローの拡大を目指す。さらに、オリンパスと合弁会社を設立して、内視鏡の新製品開発を進める医療分野においても、3D、4Kの技術を生かして、収益性の高い事業の構築を図る。
他方で、ソニーが大きな存在感を発揮してきた一般向け製品であるテレビやモバイル機器は、変動リスクコントロール領域と位置付けられ、競争環境などの大きな変化にも備えられる、いわば守備的な事業領域に位置付けられた。
平井社長をはじめ、今後、ソニーの経営陣がこうした事業でいかに収益性を高めていくのか、見守るのも一つの見方となりそうだ。
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