資産運用を考える上で、「信用取引」を視野に入れている人も少なくないだろう。そのメリットやデメリット、実際に行っていく方法など、信用取引についての知識を深めて行こう。

目次

  1. 信用取引とは何か?
  2. 信用取引のメリット
  3. 信用取引のデメリットと対処方法
  4. 信用取引のタイプ
  5. 信用取引の始め方|3つのステップ
    1. 1. 証券会社に口座を開設する
    2. 2. 信用口座を申込む
    3. 3. 信用口座を開設する
  6. 信用取引に適した証券会社比較
    1. マネックス証券
    2. 楽天証券
    3. SBI証券
    4. カブドットコム証券

信用取引とは何か?

信用取引とは「投資者」を信用してもらうことで、資金以上の株式投資を行う取引の方法だ。「信用取引」には二つの方法がある。

一つは、「空売り」、つまり証券会社に株式を借りて売却し、株価が下がった後に株式を買い戻して証券会社に返却する方法だ。通常は株価が上がれば投資家は利益を得ることができるが、「空売り」の場合は株価が下がると利益を得ることができる。

もう一つは「信用買い」、つまり投資者の持つ資金や担保で資金の最大3倍の取引を行うものだ。この方法を利用すれば、資金が100万円であれば、最大300万円までの株式を購入することができるようになる。

信用取引のメリット

信用取引の二つの手法、「空売り」と「信用買い」のメリットについて見てみよう。

「空売り」のメリット

通常、これから株価が上昇しそうだと予想される企業の株式を購入し、充分上昇した時点で売ることで株式取引による利益を得ることができる。

だが、「空売り」の場合は実際に手にしていない株式を借りることで、売り注文から入って買い注文で終える株式取引を行うので、株価が下落した時に利益を得ることができるのだ。株価の上昇よりも下落の方が予想しやすいことも多く、短期間で利益を得ることができる方法として「空売り」の手法は幅広く用いられる。

また、「空売り」による利益は、買い戻し時の差額だけにとどまらない。株式によっては株主優待があり、それを目当てに株を購入する人も少なくないのだが、その株主優待を受けられる権利が発生するときに「空売り」と現物取引の買い注文によって株式を手に入れ、株主優待の特典を得たのちに手放すという投資のスタイルもよく利用される。

こうすると、例えば10,000円相当の株主優待を、売買手数料と信用取引にかかる金利だけで得ることも可能だ。売買手数料と信用取引にかかる金利は1,000円未満のことも多く、短期間で賢く利益を得る方法として人気が高い。

「信用買い」のメリット

資金の3倍まで株式を購入することができるので、利益も3倍出すことが可能になる。特に国内では100株、1000株の単位で売買されることが多く、最低でも100万円出資しないと手に入れることができない株式も多く存在する。だが「信用買い」を行えば、手が届かないと思っていた株式も射程範囲内になるかもしれない。

信用取引のデメリットと対処方法

では「信用取引」のデメリットはどのようなものがあるのか。また、それらのデメリットにどのように対処すればよいのだろうか。

信用取引のデメリット

信用取引は「信用」と引き換えに資金を借りるため、通常の取引手数料に加えて金利も支払わなければならなくなる。

また、信用を得るために、担保もしくは資金を預ける必要がある。この金額や価値は証券会社によって決められており、一般的に現金で預ける場合は取引を行う金額の30%、株式など価値が変動するものを担保にする場合は、取引を行う金額の30%以上の価値があるものと規定していることが多い。

だが、株式が下落して取引を行う金額の30%以下に価値が下がった場合、信用取引を行う証券会社から「追加保証金」つまり「追証(おいしょう)」を行うよう通達がある。この場合、2営業日以内に追加の担保もしくは現金を預ける必要が発生する。期限内に「追証」できなかった場合には、保有する株式などが自動的に売却されることもあるので、注意が必要だ。

「信用買い」も「空売り」も、実際の資金より多くの資金があると仮定して取引を行う手法であるので、資金を超える損失、株の暴落や急騰が起こった場合は「破産」する危険性を持っている。株の暴落や急騰による損失が、担保もしくは現金で証券会社に預けている金額を超える可能性もあるということを、常に頭に置いておく必要があるだろう。

デメリットへの対処方法

信用取引では資金の3倍まで運用・取引を行うことができるが、慣れないうちは信用取引枠を最大限まで利用しないようにすることが賢明だ。

株式投資は利益を得ることもあるが、損失を得ることもある。損失を得るだけならいいが、「破産」や「借金」といった状態に陥ることは避けなければならない。そのためにも資金計算をきちんと行い、最悪の場合でも支払えるように取引を行うことがデメリットへの確実な対処方法となるだろう。

また、取引を行っている株式の動向を注視し、損失が出そうな方向に動いている場合は早めに取引を終了(ロスカット)させることも、信用取引で損をしないための対処方法となる。持ち直すかもしれないと根拠のない期待をにすがらず、取引する前に「○○円以上(もしくは以下)になったら取引を終了させる」と、具体的な金額を決めて損失を最小限にするよう対策を練っておこう。

信用取引のタイプ

信用取引は「制度信用取引」と「一般信用取引」の二つのタイプに分けられる。それぞれの取引の方法と、どのような場合に利用することができるのかを見てみよう。

「制度信用取引」とは

証券取引所が公表している制度信用取引の基準を満たした銘柄のみについて行えるのが、「制度信用取引」だ。返済の期間は6カ月以内とされており、金利も証券取引所が定めたものを支払うことになる。証券取引所と証券会社が貸借取引を結び、投資家はその貸借取引に対して契約を結ぶ、といえば分かりやすいだろう。

制度信用取引の基準はかなり厳しいが、銘柄に信頼性がある分、一般の信用取引に比べ金利も低めに設定されている。「空売り」を行う時、6カ月以内の投資を行いたいときは、銘柄の信頼性の高い「制度信用取引」を利用しよう。

「一般信用取引」とは

「一般信用取引」は、投資家と証券会社が契約を結ぶ取引のタイプだ。証券会社は投資家に資金を提供し、投資家は資金と借りた資金に対する金利を支払うことになる。金利や返済期間は、証券会社が決定するのが一般的だ。

「制度信用取引」では行われていない銘柄を扱いたい場合や、6カ月を超えて長期にわたって保有する場合には「一般信用取引」を考えてみよう。

信用取引の始め方|3つのステップ

信用取引を始めるためには、「信用口座」を開設する必要がある。証券会社で「信用口座」を開設する方法について見てみよう。

1. 証券会社に口座を開設する

まずは証券会社に普通口座を開設する必要がある。ネット証券会社の場合は、ネットと郵便だけで口座を開設できるので便利だ。

2. 信用口座を申込む

証券会社の口座を開設したら、マイページにログインし「信用口座申込み」から資料請求を行おう。

3. 信用口座を開設する

郵送される資料に必要事項を記入し、本人確認書類を添付して返送する。その際、電話もしくは書面による簡単な審査がある場合もあるが、審査に通過すると信用口座開設のお知らせが書面で届く。これで信用取引を行なえるようになる

信用取引に適した証券会社比較

信用取引に適した証券会社を手数料やツールなどの面から比較して、各自の取引スタイルに合わせた最適の証券会社を選ぼう。

マネックス証券

信用取引に対するリスクを軽減するために「スタート信用」という独自のサービスを展開している「 マネックス証券 」。信用取引でも最もリスクの高い「空売り」を敢えて行わないことで、比較的に低リスクで信用取引を行える。

また信用取引は一般的に、最大数億円単位で取引が行える。しかしスタート信用では取引出来る金額は500万円までとなっているので、過大な金額での取引を防ぐことができる。

さらに「みまもるくん」を利用すれば、設定した損益率に達した時点で自動で決済注文が発注されるため、きちんと損切りすることが出来る。これから信用取引を始める方に、おすすめのサービスとなっている。

10万円までの信用取引の手数料が実質無料と、利用しやすいことも特徴だ。信用取引を行う際に便利な、株価を指定して取引を行う「指値」などもツールで簡単に行える。

楽天証券

信用取引を行う際に必要になる「指値」や「逆指値」を行える使いやすいツールが好評の「 楽天証券 」。手数料は約定金額30万円までなら270円(税込)からと、安く設定されているのもうれしい点だ。

SBI証券

「SBI証券」は、自動ツールで「逆指値」を行えるのが特徴だ。取扱銘柄数も圧倒的に多いこともSBI証券ならではの強みである。「アクティブプラン」を選択すれば、1日の約定代金が10万円以下なら手数料103円(税込)と非常に安いのも見逃せない。

カブドットコム証券

ツールを利用して「逆指値」を行え、下落に強いのが「 カブドットコム証券 」である。自動売買機能も充実しており、株式取引を行う強い味方となってくれる。10万円以下の取引では手数料が99円(税抜)と、お得な料金体系も人気の秘密だ。

メリットとデメリットをしっかり理解して「信用取引」を行おう。リスクを最低限にする良きパートナーとなる証券会社選びも、信用取引を成功させる大きなポイントの一つとなるだろう。まずは各証券会社の口座を無料で開設、資料請求をして、信用取引口座を比較してみるとよいだろう。