3月20日に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)および、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団(以下、3共済)は、10月1日より適用する積立金の資産の構成の目標(以下、モデルポートフォリオ)を公表した。


株式と外債の比率を引き上げる

モデルポートフォリオは、2014年10月31日にGPIFの「中期計画の変更について」で公表された、基本ポートフォリオ(「長期的な観点から安全かつ効率的な運用」を行うため、各資産を組み合わせた資産構成割合を「基本ポートフォリオ」として定めている)と同じ内容で、従来、基本ポートフォリオは国内債券の比率を60%、国内株式12%、外国債券11%、外国株式12%、短期資産5%としていたものを、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%へと変更されていた。

つまり、現在進行形でGPIFや、今後は3共済も含めて国内債券売りの株式買い、円売りの外貨買いからの外国株式(あるいは債券)買いを行っているということになり、昨年秋以降のドル円相場の上昇と日本株の上昇に一役買っていたのである。


年金制度破綻の足音

ここからは、年金系投資機関が買いの主体となっていることによる国民や金融市場への影響について考えていきたい。

国内債券比率の引き下げによる市場への放出については、日銀による量的金融緩和政策により、国債の買い入れで相殺されることになり、その資金は国内外の株式と外国債券へ向かうため、株高と円安が同時に起こることは先に記載した通りであるが、この上昇は一過性のものである。

何故なら、ポートフォリオの資産構成割合を変更しただけで、ポートフォリオ全体の資産が大きくなったわけではないからだ。シフトが完了すると、国内債券や短期資産と比してハイリスクとされる資産の割合が65%まで上昇するため、さらに不確実性が増すことになる。


景気拡大か暗黒時代の幕開けか

安倍政権や黒田日銀総裁が演出した官制相場の賞味期限は近付きつつある。それまでに、アベノミクスの3本の矢のひとつである「民間投資を喚起する成長戦略」が機能しなければ、日本経済、日本株はハイスピードで逆回転を始めることになるだろう。

アベノミクス成功によるさらなる景気拡大と株高が望まれるが、投資家は「失われた20年」を超える暗黒時代の幕開けも想定するべきだろう。(ZUU online 編集部)

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