eコマース市場の拡大伴い、物流も様変わりしつつある。大手小売が大きなプレゼンスを示してきたものの、最近では、建設会社や不動産会社も物流分野に参入しつつある様子を、前回では概観した。こうした競争の激化につながりかねない動きはしかし、異業種の参入だけではない。民営化を経た巨大物流企業や、海外勢も無視できない存在だ。第2回ではさらに、物流を取り巻く最新事情に迫る。


官製・海外勢からもアツい視線

物流施設事業には、官製、海外の巨大企業も注目している。株式上場を今年秋にも控えている日本郵政の傘下にある日本郵便は、縮小が進む郵便事業におけるコスト低減と新たな収益源の強化施策の一つとして、郵便局への倉庫併設を進めている。

さらに、日本、中国、ブラジル及び米国において280億米ドル相当、4100万平方メートル規模の物流施設を保有するシンガポール系の物流不動産開発事業者であるグローバル・ロジスティック・プロパティーズ は、この1年だけでも神奈川県厚木、埼玉県日高市、千葉県八千代市、兵庫県西宮市といった、都心近郊のeコマースに適した立地に物流施設建設を着工している。


今後進む淘汰の可能性

eコマース市場成長に伴い、確かに拡大している物流市場であるが、数少ない成長市場に多数の企業が参入した結果、淘汰が進む可能性が否めない。

不動産サービス大手のCBRE によると、大型の賃貸物流施設(延べ床面積5000平方メートル以上)の2015年の新規供給面積は約204万平方メートル。リーマン・ショック前の建設ラッシュでピークだった08年の水準を上回る見通しだ。しかし、空き室率に注目すると、今後の淘汰の可能性が見え隠れする。景気回復に伴い、2011年から2013年までは空き室率は低下傾向にあったが、その後は再び空き室率が上昇しているのだ。その傾向は特に近畿圏で顕著であり、首都圏の空き室率が前期比0.2%上昇に留まるのに対し、近畿圏では5.6%上昇している。


「本気」が試される各社の物流施設事業

淘汰が進むとすると、果たしてどれだけの企業が成長市場の恩恵を受けられることができるのであろうか?

清水建設は、中期経営方針2014で東京五輪後の建設需要減少を見込んでおり、その流れの中での物流施設運営への参入決断である。大和ハウス工業は、過去3年の不動産投資のうち、60%以上を物流施設を含む事業施設へ投資し、一方で成長鈍化が予想される賃貸住宅、商業施設への投資を抑えている。日本生命の物流施設事業参入も、低金利が続く中、収益を確保するために不動産の運用対象を広げることが目的であるとされる。

本業の市場成長鈍化を背景に、物流施設事業に参入するという選択を迫られた各社は、官製、海外の巨大企業との戦いの中で、どのように生き残りを図るのか、注視が必要である。(ZUU online 編集部)

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