(写真=PIXTA)

今年から相続税法が改正されたことに伴い、ハウスメーカーによる地主へのアパート建築の提案営業が激しさを増している。アパートを建築して賃貸事業を行い、借入金も併用して相続税評価額を下げるという提案営業だ。

大手ハウスメーカーの場合、子会社に賃貸アパート・マンションの管理会社を持っているため、そこが家賃保証付きで一括借りをしてくれる。オーナーには空室リスクも無くなり、安定した賃料が入ってくる。返済計画のシミュレーションも何通りも提示があり、なんとなく安心感のある投資に思えてくる。

しかしながら、実際に築30年以上経っているアパートでは、アパート経営に苦戦している物件は多い。管理会社との契約が甘かったのであろうか。今回は、管理会社と締結する賃貸借契約に着目し、そこに潜むリスクについて探ってみた。


家賃保証でも家賃の減額はある

これから投資を始める不動産オーナーにはあまり知られていないことかもしれないが、管理会社との家賃保証付きの賃貸借契約でも家賃減額交渉はある。平成15年には最高裁でサブリース契約の家賃減額請求を認めた判例があり、法的にも認められている。

しかも、この時の判例の賃貸借契約書には、なんと家賃の自動増額特約まで付いていた。この事例は、バブル時代に賃貸借契約書が締結されていたため家賃の自動増額特約がついていたが、平成15年はすでにバブルがはじけて10年以上経ち、自動増額特約を認める基礎となった事情が失われていると判断されたため、この特約は認められなかった。