(写真=リフォーム産業新聞)
専有部リフォーム強化、女性社員8割以上
マンションの大規模改修を軸に業績を拡大しているのが長谷工リフォーム(東京都港区)。同社はマンション建設の長谷工グループ内のリフォーム専門会社で、2015年度3月期決算では281億円を売り上げている。最近はマンション専有部や戸建て改修を強化。鹿倉克幸(かくら・かつゆき)社長は「共用・専有、両方の体制を整えていきたい」と話す。
1件単価11億円の物件も
■2015年3月期の決算ではどれくらいの実績になりましたか。
受注ベースで358億円になります。前期と比べると約1割伸びています。売上高は281億円でした。今期については受注、売上高ともに2、3割程度伸ばしたいと考えています。
■売上高の9割がマンション共用部の大規模修繕になりますね。
強みはそこにあります。今は全体のうち4割が長谷工グループが管理しているマンションで、残り6割が他社です。私どものグループが管理しているのは約30万戸あるんですが、まずは自分たちが作った「元施工物件」はしっかり修繕の提案をする。そして、それだけにとどまらず、施工していない他社の管理物件もやっていこうというのが方針ですね。
■大規模修繕は1件あたりいくらくらいの請負額になるのでしょうか。
1億円以上にはなります。だいたい1棟に100戸以上の部屋がある物件が多く、1戸に付きおよそ100万円と見積もっているので、100戸あれば1億です。中には11億円という規模のものもありました。これは高性能建材を使ったり、外断熱にしたりした省エネ改修でした。大規模修繕は年間で300棟強を受注しています。
まとめて182戸受注も
■マンションの専有部の売上高は現状どれくらいなのでしょうか。
売上高全体の10%程度になります。これを今期は1.5倍にして、その次は2倍に伸ばそうと考えています。現状、専有部のメンバーは100人。店長含めて、8割以上が女性なんです。メンバーを今期中に150人にして、来期は200人体制にしたい。
さらに、東西13店舗の店を年に5、6店舗増やしていき、2020年度初めには44店舗にします。長谷工リアルエステートというグループの不動産仲介会社があるのですが、こことも連携を図り、店の近くには必ずリフォーム店があるというような体制を整えていきます。
■どのような営業活動をしているのですか。
大規模修繕中のマンションに住んでおられる方々に専有部のリフォームもご案内しているんです。例えば、神奈川にある築30年、286戸のマンションでは、現在施工中ですが全戸数の182戸をリフォームしました。平均単価は100万円くらいでしたので、2億円近い売り上げになります。
管理組合の方たちには、大規模改修の時期に合わせて専有部もリフォームした方が効率的です、とご提案しています。おおよそ3分の1くらいが専有部改修につながります。このように2つのリフォームを提案している会社はほとんどないんです。
戸建て改修の拠点を新設
2020年に築30年超が半数に
■年々マンションは古くなっていきますから、この大規模修繕ビジネスも重要さを増していくでしょう。
2020年になると、マンション全体の半分が築30年を経過します。この時期になると、管理組合では建て替えか延命するのか、判断することになります。私どもはこの時期に共用、専有の両方のリフォームに機動力を持って対応できるかがポイントになると思っています。いままでは共用がメーンで専有の体制整備が遅れていましたが、いよいよ今期からは専有リフォームの体制整備を本格化していきます。
■最近は戸建てにもチャレンジしていますね。
東京都武蔵野市に高級路線の戸建てのリフォームショップを作りました。ここは豪華なリビング空間がある140平米くらいのお店です。高額リフォームを狙えるエリアだと分析して出店しました。今期は戸建てで6億円の売り上げが目標。マンションだけでなく、戸建てでも実績をつくっていきたい。
長谷工リフォーム 鹿倉克幸社長
【会社概要】
2009年に設立。10年に長谷工コミュニティのリフォーム部門を移管。11年に長谷工インテックの内装リフォーム部門を移管。資本金は3億円。従業員数は412人。大規模修繕、インテリア・リフォーム事業をメーンとする。(提供:
リフォーム産業新聞
6月9日掲載)
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