欧米で裾野を拡げ続けるPEファンド市場

「PEファンド(プライベート・エクイティ・ファンド)」は、日本語では未公開株式ファンドと訳されることが多いが、ヘッジファンドと並びいわゆるオルタナティブ運用の根幹をなす投資形態である。

2001~2002年のエンロン・ワールドコムといった米企業の不正・粉飾会計による大型破綻や、2007~2008年のサブプライムローン危機・リーマンショックを経て、多くのPEファンドが清算の憂き目に遭うなどしてきた。その一方、それらのイベントを乗り越えて、欧米では引き続き企業の重要な資金調達手段として、投資家サイドからリスク性資金の供給・投資手段として成長を続けているのである。

6月29日、ブルームバーグは「世界のプライベートエクイティ投資市場は2020年までに約7兆ドル(約862兆円)と、2013年の水準から倍増するとの見通しを、コンサルティング会社プライスウォーターハウス・クーパース(PwC)が示した。政府系ファンドや個人らが株式と債券の代替投資先を探すためと説明している」とのことである。

PEファンドの一般的形態

一般的にPEファンドには、

  • 3~8年といった長期にわたる期間での運用を前提として組成される
  • 流通市場がない株式を投資対象としているため、流動性には乏しい
  • そのトレードオフとして、通常の株式投資よりもさらに高いレベルのリターンを目指す
  • 投資する企業の経営に運用会社が深く関与・参画(ハンズオン)する
  • 投資家の資金効率を考慮し、投資確約金額(コミットメント)を上限として、投資案件ごとに必要となった資金を拠出する(キャピタルコール方式)

などの特徴がある。

ファンドの契約形態(ビークル)としては、リミテッド・パートナーシップ(LPS、日本国内法では投資事業有限責任組合に相当)となっているケースが比較的多いが、近年では単に信託形式であるケースや、あるいは契約型・会社型投信として組成されることも増えている。