米住宅着工
(写真=PIXTA)


結果の概要:住宅着工、住宅着工許可件数ともに予想を大幅に上回る増加

7月17日、米国センサス局は6月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は、117.4万件(前月改定値:106.9万件)となり、市場予想の110.6万件(Bloomberg集計の中央値、以下同様)を上回った。

この結果、住宅着工件数の伸び(前月比)は+9.8%(前月改定値▲10.2%)となり、前月から加速、市場予想(+6.7%)も上回った(図表1、図表3)。

一方、住宅着工に先行する住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は、134.3万件(前月改定値:125.0万件)で、こちらも前月、市場予想(115.0万件)を上回った。

住宅着工許可件数の伸び(前月比)は+7.4%(前月改定値+9.6%)と、前月から鈍化したものの、市場予想(▲8.0%)のマイナスに反してプラスを維持した(図表2、図表5)。

住宅着工件数6月


結果の評価:住宅着工・許可件数は集合住宅を中心に順調に増加

住宅着工件数は、5月に前月比で2桁の減少となっていたが、6月に力強く増加したことで、前月の減少が4月(+24.7%)の大幅増加の反動に伴う一時的な減少との見方が強まった(図表3)。

さらに、前年同月比でみると+26.6%(前月:+8.4%)と、13年11月(+32.2%)に次ぐ大幅な伸びとなっており、住宅着工のモメンタムは強い。

住宅着工件数の内訳をみると、一戸建てが68.5万件(前月:69.1万件)、集合住宅が48.9万件(前月:37.8万件)となっており、一戸建てが前月から減少する一方、集合住宅が10万件以上の増加となっており、集合住宅主導で増加したことが分かる。

さらに、住宅着工件数(前月比)の地域別寄与度をみると、前月が全ての地域でマイナスとなったのに比べ、6月は西部が前月比▲6.0%(前月:▲12.1%)と2ヵ月連続でマイナスとなったほかは、概ね前月から改善した。とくに北東部は+35.5%(前月:▲21.2%)と、前月のマイナス幅を大幅に上回るプラスとなった(図表4)。

住宅着工件数伸び率6月

一方、住宅着工件数の先行指標である住宅着工許可件数は、07年7月(136.1万件)に次ぐ非常に高い水準となっている。さらに、前月比は10%近かった4、5月からは鈍化したものの、高い伸びを維持しており、住宅着工許可件数のモメンタムは依然として強いと言える(図表5)。

次に住宅着工許可件数の内訳をみると、一戸建てが68.7万件(前月:68.1万件)、集合住宅が65.6万件(前月:56.9万件)となり、集合住宅が一戸建てに迫る件数となっている。

また、住宅着工許可件数(前月比)の一戸建てと集合住宅の寄与度をみると、7.4%の伸びのうち、一戸建てが+0.5%ポイントの寄与に対して、集合住宅が+7.0%ポイントの寄与となっており、集合住宅の寄与が大きい。なお、集合住宅の寄与が一戸建てに比べて大きくなっているのは、15年4月以降3ヵ月連続である(図表6)。

このように、住宅着工件数は堅調であることから、住宅着工は当面、集合住宅中心に高い水準での推移が見込まれる。

住宅着工許可件数伸び率6月

窪谷浩
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員

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