積極的な前向き投資で規模拡大へ向け新規事情に注力:MUTOHホールディングス <7999>

業務用大判インクジェットプリンタの大手MUTOHホールディングス <7999> が5月15日に2015年3月期通期業績を発表した。前年同期比で増収減益。現在同社では3Dプリンタを中心とした積極的な先行投資を行っており、開発、新事業部門の立ち上げなどで発生したコストの影響を受けている。今期も利益は同期並に推移する見込み。2~3年後の収益化に向け体制を整えている。

現在の同社株価は400円(5月29日終値)。PBR0・76倍と割安水準にある。今期の配当性向は37・8%となる見込みで、株主優待のギフト券と合わせて積極的な株主還元策をとっており、保有魅力が高い銘柄と言えるだろう。

セグメント別に見ていこう。3Dプリンタ、大判インクジェットプリンタなどを扱う情報画像関連機器事業は、アジア・ヨーロッパ・北アメリカの3地域で分けられている。

アジア地域においては、中国等アジア新興国への販売が好調に推移したが、一部製品出荷遅延と個人向け3Dプリンタの価格下落、先行した開発投資増加の影響から、売上高84億2000万円(前年同期比5・1%減)、セグメント利益5億1100万円(同48・5%減)となった。

北アメリカは、数々のグラフィック・サイン関係展示会で最優秀プリンタ賞に輝き、中南米を含む販売活動の展開など販売が好調に推移した事に加え、アメリカ経済の回復、為替の円安による影響により、売上高37億6700万円(同13%増)、セグメント利益3億4800万円(同98・8%増)。

ヨーロッパにおいては、積極的な販売活動の展開と為替円安を背景に増収、しかし利益面では価格競争の激化の影響を受け売上高70億1400万円(同5・4%増)、セグメント利益4億1200万円(同2・5%減)となった。

今期同セグメントで注目したいのが他に例を見ないアーク溶接方式を用いた産学共同開発となる低コストタイプの金属3Dプリンタだ。今下期には製品化の見込みで、収益への貢献が期待されている。

情報サービス事業は、既存事業ではCAD事業・システムソリューションサービス事業ともに増収増益となり、売上高は22億8200万円(同5・9%増)、しかし今後の需要増や、他セグメントとのシナジー効果を見込み開始した3Dソリューションの事業化初年度立ち上げ費用の影響などにより、セグメント利益1億1400万円(同48・6%減)となった。

不動産賃貸事業は一部物件の自社利用への移行に伴い、売上高2億5000万円(同29・5%減)、セグメント利益1億8600万円(同21・7%減)となった。

その他の事業は国内消費マインドの影響があったが、既存・新規事業等の販売活動と経費節減に努め、売上高は17億3900万円(同0・2%減)、セグメント利益300万円(前年同期△1億1000万円)なお、今期業績では年初より大判インクジェットプリンタの新製品を発表するなど、3Dプリンタを含め今後も新製品投入が予定されているとの情報もあり、十分に上振れが期待される。(記事提供: 株主手帳 7月号)

(表)
2015年3月期通期連結業績
売上高 234億7500万円(前期比1・6%増) 営業利益13億600万円(同19・9%減) 経常利益13億5400万円(同32・8%減) 当期純利益26億8400万円(同11・8%増)
2016年3月期通期連結業績予想
売上高 260億円(前期比10・8%増) 営業利益13億円(同0・5%減) 経常利益13億5000万円(同0・3%減) 当期純利益 8億5000万円(同68・3%減

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