(写真=PIXTA)
3年前の本誌7月号でも取り上げていた電通 <4324> の株価は同時から3倍に跳ね上がっている。「買っておけばよかった」悔む人も多かっただろう。東京株式市場に元気が無かった時期から中長期投資を実践してきた投資家こそ、本当に「勝った」人だ。本稿作成時点で、平均株価は利益確定売りをこなしながら2万400円台を固めに入っている。2万円相場の今からでも、中長期投資は出来る。企業成長、配当などの観点から妙味株を明らかにしていこう。
(取材・文/経済ジャーナリスト 千葉明)
東京五輪までは伸び続ける『インバウンド』関連の穴株ロイヤルH
観光庁によると、4月のインバウンド(訪日外国人)数は前年同月比43・3%増の176万4700人に及んだという。3カ月連続で月次ベースの過去最高更新である。
周知の通り政府は「2020年にインバウンド数2000万人超」という目標を掲げている。確かにインバウンド数の増勢は著しい。2011年には622万人だったものが昨年には1341万人、「今年は1600万人を超える」がコンセンサスとなっている。「政府目標は17年にも達成されよう」とする見方も出ている。
ではインバウンド数の増加は、日本経済にどれほどの効果をもたらすのか。「爆買い」といった言葉がメディアに踊ってはいるが、具体的な数値はほとんど聞こえてきていない。そうした中で証券系調査機関のいちよし経済研究所が、「昨年の訪日外国人が日本で使った総金額は2兆円を超えた」とする試算を発表した。
それによるとその内訳は、「買い物代金7142億円」「宿泊費6093億円」「飲食代4307億円」。『高級ホテルに泊まり爆買い』を裏付ける形であり、ホテル・百貨店株などの押上げが指摘されている。
では飲食関連株への影響はどうか。相場は着々と反映の動きを見せている。外食チェーン/ロイヤルホストを展開するロイヤルホールディングス <8179> などその好例。
前12月期の「3・4%増収、26・3%の営業増益、2円増配16円配当」に対し今期は、「1・7%増収、1・9%営業増益、16円配当据え置きと慎重な計画。「先行投資負担を勘案」と会社側は説明する。
対して株価動向は極めて興味深い。昨年大発会の初値に対し大納会の終値は、6%強の値上がりに止まった。が今年に入り急変。1月4日の初値1681円から4月9日の2351円まで40%近い上昇。本稿作成時点(以下、同じ)は2100円台前半と調整基調だが、「目標株価3000円」とするアナリストの声も聞かれる。何故か。以下の点が指摘できる。
①ロイヤルホストへのインバウンド数の増加。
②リッチモンドホテルなど全国37(4月末)の運営ホテルがインバウンド数効果で高稼働率。
③高速道路のサービスエリアや空港内で運営する飲食店や、機内食事業が同様の理由で順調。
④簡易でかつ典型的日本食として、天麩羅屋チェーンの「てんや」がインバウンダーに人気。
実は今期の「先行投資」は、機内食新工場関連であり新たなホテル(3)の開設負担なのである。四季報は来12月期の営業利益を「27%増」と独自予想している。