2万円相場でも株価を切り上げる日本電産 継続的成長と配当強化がポイント

日本電産 <6594> の4月23日の株価動向に、株式投資の真骨頂をみた。22日の引け後に前3月期決算(今期計画)を発表。今期の最終利益は「18%増の900億円」とした。この値は、QUICKコンセンサス(アナリスト予想平均)を14%下回るものだった。そして23日同社株は安寄りし一時147円安(8188円)まで値を下げたが、その後切り返し534円高(8869円)の3日連続上昇で引けた。

ちなみにその後日本電産は9200円(5月20日)まで買い進まれている。増収増益基調が続き増配という株主還元策も履行(日本電産の今期は10円増配)される「成長性」が認められる企業に対しては、「中長期構えで対応しようという投資家が増えてきている」(大手証券ストラテジスト)とする見方が増えている。

短期取引を否定するものではない。資金の回転がなければ株式市場は成り立たない。が株式投資による資産形成という観点に立つとき、重要な姿勢といえる。

日本電産と同様の事象がセブン&アイ・ホールディングス <3382> やニトリホールディングス <9843> でも見受けられた。こうした株が2万円相場でも着実に水準を切り上げていくと捉える。ちなみに日本電産は13年3月期の初値買いで前期末まで保有した場合、そのパフォーマンスは2倍を悠に超えている。

ニトリホールディングス

◆連続増配がウリのユニチャーム

では、さらなる成長性を孕んだ企業はどう発掘するのか。入り口の一つに「増配」という施策の有無があろう。もっと言えば「連続増配企業」である。そんな企業を自ら納得いくまで調べ上げることである。

例えばユニチャーム <8113> 。中国やインドネシア等ASEAN諸国で、紙おむつの需要が衰えるところを知らない状況にある。「海外での販促費の増加は海外での増収効果で吸収している」(広報担当者)。昨年10月に1対3の株式分割の株主還元策を実施しているが、かつ今12月期は14期連続の増配計画で進んでいる。

ユニチャーム

渋い連続増配企業もある。最たる例がユー・エス・エス <4732> 。同社は中古車オークションの草分け的存在であり、かつ業界首位。諸政策の実施により年間に市場に出る中古車台数は低減傾向を強めている。そうした環境下で同社は今3月期計画の「5・5%増収、4・8%営業増益」に見て取れるように、「しぶとい」の表現が嵌る増収・増益を続けている。かつ今期も「3・10円増配の40・80配当」計画。実現すれば18期連続の増配となる可能性大。

安藤之弘社長は、こう公言してはばからない。「連続増配を軸に経営に当たっている。環境を精査し増配ができる利益を決め、それを実現するために、例えばオークションの回数やコスト削減策を履行していく」。

事実、過去17期の連続増配中は毎期史上最高益を更新し今期も「更新」計画。「配当云々が話題に上る際にだけ登場してくる企業」といった悪たれも聞かれるが、こんな事実がある。13年3月期の初値(12年4月初値8500円)で同社株を買い保有していると、投下原資は13年9月の1対10分割と連続配当効果で3倍近くに増えている。

ちなみに今期も増収増益で14期連続増配を計画する株価妙味を覚える企業として、検体検査機器のシスメックス <6869> やドラッグストア大手のサンドラッグ <9989> 、ガス器具トップのリンナイ <5947> などがある。

サンドラッグ

また「配当」という視点からみた場合、「配当実施間近」という企業に焦点を当てるのも一法といえる。

例えばフォトクリエイト <6075> 。マラソン大会などイベント参加者が欲する(記念)写真を、種目別に11サイトから選択・購入できるビジネスモデルで成長している同社は未だ未配当。

クラウド事業という新たなビジネス領域に注力しているが、17年6月期を最終とする中計が進んでいる。売り上げ47億1600万円(前期比50%強増)・営業利益3億8600万円(2・06倍)目標。同社の経営管理部では「東証1部に移行する時点で配当を開始する計画」とするがアナリストは、「中計の達成時点で、1部移行が具体化してくる」とする。先回り買いも一法といえよう。

フォトクリエイト