(写真=リフォーム産業新聞)
人手不足!?その前に働きたいと思える職業にするために!
イニハンス 白田哲也代表取締役
≪Profile≫
1978年6月生まれ。2015年に建設職人と発注先の請負マッチングサービス「請なび」を開始。携帯アプリを活用し、工事案件情報の閲覧・応募ができる。これにより職人主導の仕事選びができる環境づくりを推進している。
職人環境への疑問
昔、私は職人でした。戸建ての外壁として多く使われる「サイディング」の施工です。そして23歳という若さで、社会を何も知らないまま独立しました。それから材工一式で請け負うようになり、個人から法人、建築から不動産へと業務を増やしました。
そして昨年から、建設業向けWEBシステムやアプリを開発して業界IT化に取り組む会社を立ち上げました。結果、今までより少し離れた感覚で建設業を見ることができ、そこで「これはおかしい」と感じたのが"職人たちの環境"です。
職人というのは外注として働いてる人が多いですよね。なぜか。第一に工事会社のコスト問題があると思います。職人達を社員化すると、固定費を増加させ経営を圧迫してしまいます。仕事量が不安定な業界だということも考えると、誰でも社員にするということが難しいというのも分かります。だからといって職人達の環境はどうでもいいことなのでしょうか。
職人が外注であることが多いのは、「稼ぎたい」「会社に縛られたくない」という職人の都合だけではなく、会社側の都合も関係しています。であれば、力も大きな会社側が職人のために、取り組むべきことがあるのではないでしょうか。
けれど何十年もそれをやってこなかった。「やればやるだけ稼げる!」。この言葉を合言葉に、会社都合でもあることは伏せ、職人のやりがいを煽り、「外注でやります」そう彼らに判断させてきたのです。しかし、工事会社も厳しいということはよく知っています。だから私は工事会社の人達にたった2つのことを言いたいのです。
必要な情報提供を
1つは「職人達に外注としてやっていくために必要な事実や情報をきちんと教えてあげて下さい」。税金、保険、労災、病気や生活について、彼らは若い時から現場に飛び込み、そんなこともろくに知らずに働いているんです彼らの無知をいいことに都合よく使うのはやめませんか。
もう1つは「社員にせず外注のまま彼らを使うのであれば、彼らが少しでも稼げるように仕事を選択させてあげてください。その職人がどうしても独占したい人材なのであれば社員にすればいい」。フリーランスである彼らは工事会社に囲い込まれず、エリアや発注金額で仕事を選ぶ権利があるのです。状況に応じて請負先を変えることを"不義理"だと批判することはやめましょう。それは生きるためなのです。
私はそういった慣習を根本的に変えていくべきだと考えます。私が運営する『請なび』もそうですが、建設業の職人達の環境が良くなるように、そして生産性が上がるように取り組むべきです。お世話になってきた建設業界の未来のために、皆さんも意識を変えてはどうでしょうか。(提供: リフォーム産業新聞 7月28日掲載)
【関連記事】
・
【インタビュー】フレッシュハウス、2020年への大きな課題は"保証"
・
【インタビュー】カチタス、2020年には170万戸が軒並み築30年
・
2020年は「省エネ」「設備更新」「リノベ」に期待
・
2020年、「中古住宅」「リノベ」への理解が進み改修が当たり前に
・
【インタビュー】ベツダイ、中古住宅とリフォームのワンストップ「RE住む」拡大