(写真=PIXTA)
4つの土地価格
日本の土地には大きく4つの公的な地価があります。具体的には次の通りです。
1. 地価公示価格(公示地価)
一般の土地取引価格の指標として、国土交通省・土地鑑定委員会が評価し、3月下旬に公示されます。比較的実勢の価格に近いと言われています。
2. 基準地価
一般の土地取引価格の指標として、各都道府県が評価し、9月頃発表されます。地価公示価格でカバーされない都市計画区域外の林地なども含みます。地価公示価格と同じように、概ね実勢に近いと言われています。
3. 路線価(相続税路線価・倍率価格・相続税評価額)
相続税、贈与税の課税額の基準として、国税庁が評価し、8月頃公表されます。地価公示価格の8割程度と言われています。
4. 固定資産税評価額
固定資産税の課税額の基準として、各自治体(市町村長)が評価し、3年毎に見直しされます。地価公示価格の7割程度と言われています。
マクロデータにもとづく都道府県別の資産価値ランキング
4つの土地価格のうち、実勢に近い公示地価を使って、都道府県別の資産価値ランキングを作成しました。
東京をはじめとした都市部への人口集中と地方の衰退は、日本にとって大きなテーマです。この先の日本を考える上でも、また、不動産投資の将来を考える上でも、まずは現状の姿で東京と地方の資産格差を確認するのは意味のあることだと思います。
今回、比較検討するのは各都道府県の「住宅地」の価値です。土地の価格は平成27年度の「公示地価」を用います。これは国土交通省の「国土数値情報ダウンロードサービス」から入手できます。全国のデータとして、47都道府県の16,488地点(住宅地のみ)の地価情報があります。
都道府県別に公示地価の平均値を集計すると以下のようになります。
住宅地の広さを考慮
国土交通省の公示地価で、都道府県別の住宅地の平均値がわかりました。ここでもう1つ、別のマクロデータを用います。それは国土・気象に関する総務省統計局の統計データです。そのなかの「都道府県別土地利用」という項目から、都道府県別の民有地面積のうち「宅地」の面積を使用します。なお、都道府県別の宅地面積は、データの表示を省略します。
都道府県別に、公示地価の平均値 × 宅地面積で、都道府県ごとの宅地の資産評価額を算出しました。その結果が以下です。
東京都の場合、宅地の価格が1平方メートル当たり350,310円でした。これに、東京の宅地面積572平方キロメートルを掛け合わせて、200兆円ほどになります。
なお、全国の住宅地を総合すると約1,230兆円でした。
住宅地の総額は1,230兆円
これまでの結果を図で表すと以下のようになります。
全国の住宅地の総額が1230兆円と推計できるうち、200兆円が東京都に集中しています。東京への集積は、金額ベースで約16.3%です。ちなみに、全国の宅地は16,755平方キロメートルあり、そのうち東京都は572平方キロメートルにすぎません。比率では3.4%です。
上の図からは、東京をはじめ、神奈川や埼玉、千葉などの首都圏、中部地方から愛知、そして関西都市圏の大阪、兵庫の資産評価額が大きいことがわかります。
不動産投資においては、エリア内の個別物件をミクロ的に見る視線と、日本全体の中での投資エリアというマクロ的な視点の両方が必要になります。少子高齢化が進む日本にあって、データにもとづくマクロ的な視点は今後ますます重要になっていくでしょう。 (提供: Leeways online )