(写真=PIXTA)
2020年開催の東京オリンピックを契機に東京都内の各地で進む再開発。大型商業施設の開発・開業が計画されている銀座・渋谷で「TOKYO」はどう変わる?
2020年開催の東京オリンピックを契機に東京都内の各地で再開発の計画が進捗しています。多くの地権者が関わる再開発においては、地権者の合意形成が一番難しいとされていますが、「東京オリンピックまでには」という想いが合意形成のひとつのきっかけになっており、再開発は活況を呈しています。
渋谷と銀座に大型商業施設が誕生
具体的には、渋谷駅西口の東急プラザ跡地周辺に東急不動産などが手がける「道玄坂一丁目駅前地区第一種市街地再開発事業」(18階建てビル)が2018年開業予定、渋谷区の宮下公園整備事業として三井不動産が手がける商業施設・ホテルが2019年ごろ開業をめどに開発が進められています。
また銀座エリアにおいては、来春開業する東急不動産による銀座・数寄屋橋交差点の大型商業施設「銀座5丁目プロジェクト(仮称)」、松坂屋銀座店跡地にJ.フロントリテイリングが手がける東京最大級の13階建て複合商業施設が2016年秋に誕生予定です。
商業施設の再開発が活発なワケ
首都圏の大規模な再開発というと、最近では川崎・武蔵小杉のような高層マンション群や、虎ノ門ヒルズのようなオフィスといったものが注目を浴びました。今後、オリンピックに向けてはインバウンド効果も踏まえ、大型商業施設の開発がひとつのトレンドと言えそうです。大型商業施設は、マンションやオフィスに比べると、消費活動の活性化、周辺への経済効果波及という面では大きなインパクトを与えます。
たとえば、大規模オフィスが誕生した場合、そのエリアはエネルギッシュな人が多く集まり、新しい街のように変貌を遂げますが、周辺店舗への影響という意味ではそれほど大きくありません。
オフィス街は平日のランチや夜の飲み会、カフェなど飲食需要は高いものの、買い物需要は低いです。オフィス街に雑貨屋やセレクトショップがあっても、商売立地としては不適合なのは容易に想像がつくでしょう。
オフィス街の特徴としては、お金を使う人たちが集まるのではなく、お金を稼ぐ人たちが集まっているという点です。
そのため、土日は人が閑散としてしまうのも特徴です。オフィスができても経済効果は必ずしも大きいとは言えないのです。
一方、大型商業施設が誕生すると、お金を使おうと消費に積極的な人が集まります。しかも他の街から毎日違った人達がたくさん集まってきます。彼らは地元客とは違い、大型商業施設の周辺店舗にも立ち寄る、いわゆる「ついで買い」にも意欲的です。
そのため、大型商業施設が開業すると、駅から大型商業施設までの動線上の店舗は売上が上昇する傾向にあります。かつて駅前の商店街では、郊外の大型商業施設の出店を拒む姿勢が多く見られました。しかしながら、そのような商店街は、多くの「お金を使いにくる人たち」を失ってしまったため、衰退の一途をたどっています。
世界一魅力的な都市TOKYOへ
先述したように、渋谷や銀座エリアで大型商業施設の開発・開業が計画されていることから、この2つのエリアには今後、ますます感度の高い消費者が集まってきます。そしてその、インフルエンサー達がまた新しい人たちを呼んでくるのです。
この2つのエリアは、全国はおろか、海外からの訪日客をも引き寄せるパワーとブランド力を持っているため、エリア全体に大きな経済効果が期待できます。特に訪日客のインバウンド効果は、もはや説明する必要もないほどの爆発力です。そういう意味でも、銀座や渋谷はさらなる経済的発展が期待できると思われます。
ただし、大型商業施設はインパクトがあるため、人の流れやエリアターゲット層をも大きく変えることがあります。渋谷や銀座エリアにおいても、買い物客の動線やターゲットが変わることにより、売上を落としてしまう店舗も現れるでしょう。
そのような店舗は売上が落ちることにより、賃料減額の申し入れや、テナントの撤退というリスクも発生してきます。逆を言えば、新施設が掲げるターゲットと合致した旧店舗は売上拡大が期待でき、新施設の動線上の物件は出店立地や投資対象として高いポテンシャルを有しているのです。
銀座や渋谷は現在でも日本有数のショッピングゾーンです。
この2エリアは今後も新陳代謝を繰り返して、さらにグローバルな商業都市として、成長を遂げていくのでしょう。(提供: ファイナンシャルスタンダード株式会社 )
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