不動産投資
(写真=PIXTA)

日本でも個人での資産運用に注目が集まり、さまざまな投資商品が販売されるようになりました。その中でも、資産防衛のために不動産、特に中古マンションに投資する人が増えています。なぜ中古マンションへの投資が人気になっているのでしょうか。中古マンション投資が他の投資手法に比べて持つメリットとはどのようなものなのでしょうか。


インフレ進行の懸念と国債暴落の可能性

個人での資産運用に非常に注目が集まるようになりました。その背景には、政府の赤字の累積や少子高齢化の進行による社会保障費の減少予測があります。公的社会保障に頼らず、個人で老後資金を準備する時代はすでにはじまっています。個人での資産運用と言えば、簡単にはじめられる金融資産への投資が一般的です。

金融資産と一言で言っても、株や国債、社債、FX、投資信託、REITなどさまざまなものがあります。これらの金融商品は証券会社のサイトから誰でも簡単に投資できるため、その手軽さから実践している人はとても多いです。

しかしこのような金融資産への投資は、これからの経済情勢の動向によっては、大きく損失が発生する可能性があります。金融資産への投資へのマイナス要因には、主に以下の2つのものがあります。

①日銀の金融緩和によるインフレ

日銀は2013年から2%のインフレ率の目標を2年以内に達成するために、「量的・質的金融緩和」を行なってきました。この政策では長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍にする、長期国債の平均残存期間を2倍以上にするという手法が取られました。この量的・質的金融緩和の結果、円相場は大幅に円安になり、その他のアベノミクスの政策の影響も合って、日経平均株価も大幅に上昇しています。

現在のインフレ率は、輸入物価の下落や原油安の影響で抑えられていますが、これからは上昇することが予測されています。実際、日銀もインフレ目標を達成するまで金融緩和を継続することを主張していますし、金融市場の好調は徐々に実体経済にも浸透し、デフレ脱却が達成されるのは時間の問題かもしれません。

日本人は、20年に及ぶデフレ経済に慣れきってしまっているため、これからくるインフレ下の経済には入念な準備が必要です。毎年2%インフレするということは、現在の資産価値が1年後には2%目減りしているということです。つまり毎年2%を超える運用益を生み出さなければならないのですが、預貯金ではとても2%を上回ることはできません。

②国債暴落の可能性

また国債の暴落の可能性も考慮する必要があります。現在の日本の政務の債務は1000兆円を超えて世界最高になっています。日本の国債はほとんどが国内で保有されているため、政府債務が膨らんだところでただちにデフォルトすることはありませんが、それでもこのまま債務が膨張し続ければ、いつかは債務が返済できなくなってしまいます。そうなれば国債価格は暴落し、国債の形で資産を保有している人は大損してしまいます。

現在、日本の国債は安全資産と見なされていますが、長期的に見れば安全とは言い難いです。インフレ率の上昇や国債暴落の可能性は現状では低いですが、何十年という期間で見ると、銀行での預貯金や国債の形で資産を保有することには、少なくないリスクがあることが分かります。


金融資産と合わせて実物資産を保有する重要性

これらを踏まえて、どのように資産運用すればいいのかを考えると、以下の3つの対策が考えられます。

①2%以上の運用益が上げられるポートフォリオの作成

まず資産防衛の対策として考えられるのは、預貯金・国債での資産の保有を少なくし、最低でも2%以上の運用益を上げることのできるポートフォリオを作成することです。現在積極的な資産運用を何も行なっていない人ならば、ポートフォリオは預貯金が100%となっているでしょう。これを少しずつ改善し、まずは安定的に運用益が得られるように、預貯金以外での金融資産への投資を検討してみます。

例えば、預貯金が30%、国債に15%、国内株式に15%、投資信託に20%、J-REITに20%というようにです。預貯金や国債は安全資産ですので、ある程度は残しておく必要があります。その上で残りの資産を安定的に運用できる国内株や投資信託に投資します。このようなポートフォリオを組めば、2%を上回る運用益は比較的簡単に得ることができます。しかしこのポートフォリオでは、金融資産に全て投資しているため、金融市場が動揺したときは、その影響をモロに受けることになります。

②分散投資する

投資する上で重要なのは分散投資することです。古くから「同じカゴに卵を盛るな」と言われるように、資産を分散させリスクを1つのところに集中させないことは、投資家にとっては基本中の基本です。上記のように預貯金、債券、株式、投資信託などに分散投資すれば、株式のみや投資信託のみで保有するよりもずっと安定的に運用することはできるのですが、一方で全て金融資産として集中投資しているということも言えるのです。金融市場は流動性が増す一方であり、今後も通貨危機、金融危機は必ず起こります。そのようなときのために、金融資産以外の実物資産まで視野を広げて分散投資するという発想が必要になります。

③金融資産だけでなく実物資産にも投資する

金融資産と実物資産に分散投資するのは、実は非常に高いリスク分散の効果があるのです。金融資産がインフレ時に価格が下がりやすくなるのに対し、実物資産は価格が上昇する傾向があります。また経済に影響を与えるほどの世界的な事件、例えば紛争の発生、テロ、災害などが起こった時も、金融資産にはマイナスの影響を与えますが、実物資産にはプラス要因になります。これはより安全な資産を保有しようと、お金が実物資産に流れるためです。

つまり金融資産と実物資産の間には逆相関の関係があるため、分散投資の効果が非常に高くなるのです。


不動産投資のメリットとデメリット

実物資産として代表的なものは「金」です。リーマンショックが発生したときも、金の価格は上昇しました。しかし金は保有しているだけでは何も生みません。その他の実物資産である穀物や原油なども、売買したときの差額からキャピタルゲインを得るしか利益を得る方法はありません。

そこで実物資産への投資としてもっともメリットがあるのが、不動産投資です。不動産は売買時のキャピタルゲインだけではなく、保有している間のインカムゲインから利益を得ることができます。安全資産として資産防衛に役立つだけでなく、収益性も高いのです。不動産投資の主なメリットを整理すると①安全資産である②継続的に家賃収入が得られる③分散投資の効果が高くなる、という3点になります。デメリットを上げるとすれば、初期費用や手間が多くかかるということでしょう。不動産投資は購入時の手続きや物件選び、税金関連の手続き、物件の管理など多くの手間がかかります。また最低でも数百万円単位の初期費用がかかりますので、お金と時間にある程度余裕のある人におすすめの投資手法になります。


なぜ中古マンション投資が人気なのか

そのような不動産投資の中でも、もっとも人気なのが中古マンションへの投資です。中古マンションの投資には以下のようなメリットがあります。

①トータルで見ると少ない資金で投資できる

新築物件の場合は金融機関から融資してもらって、レバレッジをかけて投資することができます。中古物件の場合は融資不可能なケースが多いため、初期費用としての自己資金は新築よりも多く用意する必要があります。しかし中古マンションは新築よりも1割〜3割ほど安いのが一般的であり、さらに中古マンション投資のターゲットは主に単身者であるため、一つ一つの物件価格はファミリータイプよりもずっと安くなります。トータルで見ると新築のマンション投資よりも少ない資金で投資できるのです。

②複数物件保有することができる

少ない資金で投資することができるということは、複数所有して分散投資効果を高めることも可能だということです。不動産投資にも空室リスク、家賃下落リスク、災害リスクなど様々なリスクがありますが、分散所有することでこれらのリスクを分散させ、より安定的に収益を得ることができます。新築物件で複数所有しようとすると、トータルでの資金がかなり必要になり、結果的にハイレバレッジでの投資になるケースもあります。そうなれば大きなリスクを背負いながら投資することになりますので、資産防衛には不向きになるのです。


資産防衛でもっとも重要なのはリスク管理の徹底

今回は資産防衛という観点から、不動産投資、特に中古マンション投資の優位性について解説しました。整理すると、金融資産と実物資産である不動産に投資することで、リスク分散の効果が高まり、しかも不動産ならば継続的にインカムゲインを得ることができる。しかも中古マンション投資ならば、トータルの費用が安くなるため、さらに分散効果を高めることができるということでした。

不動産投資は優れていますが、ただ不動産のみに投資するのではなく、金融資産と不動産への分散投資、そして不動産そのものへの分散投資と、よりリスク管理を徹底することが資産防衛に役立つのです。(提供: Leeways online )

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