マンション投資
(写真=Housmart)

5年後の東京五輪に向けて、都心は開発ラッシュを迎えています。そのせいもあって、全体的に不動産価格は上昇傾向にあります。そういった状況において、今後の不動産市場の動向が気になるところです。では、都内でマンションに投資するとしたら何を基準に考え、どんなことに注意すべきなのでしょうか。


東京の不動産価格は上昇傾向にある

東京都内の不動産価格が上昇する背景には、東京五輪に向けた開発の他に、いくつかの要因があります。まず、都心を中心に旧耐震基準のオフィスやマンションが多くあり、かなりのボリュームの建て替え需要があること。また、平成27年1月1日から相続税の控除額が引下げられたことによる相続税対策、長引く低金利や円安基調などの要因による底堅い需要があります。

賃貸市場に於いては賃料が改善傾向にあるのですが、一方で物件価格が上昇しているので還元利回りは低くなっているようです。とはいえ、円安のため外国人投資家の投資意欲は依然として強いので、都心の不動産への投資は堅調に推移していくでしょう。

こういった状況下では、今後も東京都心の不動産価格は上昇していくと見るのが妥当。しかし価格上昇の波は、東京五輪の2020年に大きな筋目を迎えると考えられます。問題は、その筋目の先に何があるかです。


不動産価格が頂点に達した後の影響は?

株や為替も同じですが、価格上昇がピークに達したら、その後は下降するもの。問題は、どういう下降の仕方をするかです。ここで押さえておくべきなのは、すべての不動産が同じように価格変動するわけではないということです。

物件の属性によって、価格変動の仕方に違いがあることを踏まえておく必要があります。急激に下落する物件があれば、ゆるやかに下降する物件もあるでしょう。また、価格を維持する物件、中には上昇を続ける物件もあり得ます。では、どんな物件が急降下する可能性があるのか。そして、どんな物件が堅調な価格推移をするのでしょうか。


開発ラッシュによる建築コスト高騰の影響

東日本の復興需要に加え、東京五輪に向けた開発ラッシュによって人手不足が深刻になり人件費が高騰しています。そのうえ、円安の影響で建築資材が値上りし、建築コストの上昇に拍車をかけています。それらの要因による建築コストの高騰は、必然的に物件価格に反映されます。

その結果、今後竣工する物件は建築コスト高の影響を受け値上がりすることになるでしょう。しかし建築コストの上昇分が、単純に物件価格に上乗せされるだけでは済まない事態が予想されます。

ひとつには、高騰した材料費や人件費などのコストを、設備や部材の品質を下げることで調整することが考えられます。更に懸念されるのは、コストを下げるために手抜き工事をする可能性です。そういった経緯で建設された新築物件は、一定の需要が満たされた後に急激に価格が下落するリスクを孕んでいます。

とはいえ大手デベロッパーの分譲マンションについては、そういったリスクは少ないものと思われます。問題なのは、中小規模のデベロッパーが開発した物件です。それらすべての物件にそういうリスクがあるわけではありませんが、物件によって大きく品質の差が出ることは十分に考えられます。そして今後は、そういう問題のある新築マンションが市場に出回る可能性があるのです。

そういったリスクを考慮すると、新築ではなく築浅の中古マンションに投資する方が安全ということになりますね。その理由の一つとして、超大手の大規模マンションは別にして、建築時期が数年の差であれば、建築水準はそれほど違わないのです。それと築浅の中古マンションは新築プレミアムを償却していますので、同程度の物件であれば新築に比べてかなり割安で購入することが出来ます。


賃貸用マンションは特に要注意

個人投資家が手がけるのは、主にワンルームなどの専有面積の小さい賃貸向けのマンションが中心です。特に賃貸用に開発されるマンションは、分譲マンションに比べて建築時に品質を落される可能性が高くなります。

新築で価格が高にも関わらず品質の悪い物件、そんな資産価値の低いマンションに投資すべきではないでしょう。通常の不動産投資では、投資物件を長く持ち続けることはなく、ある段階で売却するのが一般的。クオリティの低いマンションは売却時の価格が極端に下るので、かなりの含み損が生じる可能性があります。ましてや、手抜き工事による不具合が発覚したマンションであれば、価格を下げても売却するのは難しくなるでしょう。


外国人投資家の動向に影響される可能性

物の価格は、需要と供給のバランスで決まるのが市場原理。2020年に向けた建設ラッシュによって、大量の物件が供給され一定の需要を満たせば価格は落ち着くでしょう。その後に継続した需要がなければ、価格は下落すると考えられます。しかしその需要と供給のサイクルがどのように展開されていくのか、それは誰にも分からないのです。

取り敢えず、今の段階では中国人を始めとする外交人投資家の影響もあって、不動産価格が上昇基調にあることは間違いありません。しかし、もし外国人投資家が品質の悪い投資物件を投げ売りし始めたら、一気に不動産価格が暴落する流れになる可能性があります。


物件価格と賃料のバランスを考慮する

購入者自身の住居用として取引される物件は別にして、投資目的であれば賃貸需要がどれほどあるかが問題になります。合理的な考えを持った賃貸派より、買えないからか借りるという人が圧倒的多いということを考慮する必要があります。つまり、賃料には上限があるということです。

不動産投資に於いて、購入する物件の価格は賃料を基準に算出する必要があります。ここで留意すべきは、不動産価格の上昇幅と賃料の相場は必ずしも連動しないということです。ですので、人気があるエリアだからといって、物件価格の上昇分が賃料に上乗せできるわけではないのです。その意味で、高額な新築物件は投資効果が低いということになります。


まとめ

今は様々な要因によって不動産価格は上昇傾向にありますが、開発ラッシュにおける建築コスト高が将来の不動産市場の動向にどのような影響を与えるかは不透明です。ゼネコン等の施工業者が建築コストの上昇にどう対処するか、それが今後の不動産価格の動向に大きな影響を及ぼすでしょう。

(提供: Housmart Journal )
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