(写真=PIXTA)
不動産クォータリー・レビュー2015年第2四半期
2015年4-6月期は輸出の大幅減少と消費の落ちこみのため、実質GDPはマイナス成長になった。そうした中で不動産市況は、住宅着工が1年半ぶりに100万戸台へと急回復するとともに、賃貸市場ではAクラスビル賃料が大幅に上昇した。急増する訪日外国人旅行者はホテル市況の活況をもたらすだけでなく、百貨店など都心の小売市況をも下支えし始めている。
経済動向
2015年4-6月期は、日経平均株価が15年ぶりに2万円台に乗せるなど株式市場の活況に加え、上場企業の7割が前年同期比で経常増益となるなど企業収益も好調で推移した。一方、海外ではギリシャ債務危機が再燃するとともに中国の上海総合株価が大きく下落するなど不安定な動きが見られた。
内閣府が8月17日に公表した2015年4-6月期の実質GDP成長率は、海外経済の減速で輸出が減少したことと消費の落ちこみなどから、前期比▲0.4%(年率▲1.6%)と3四半期ぶりにマイナス成長になった。
住宅着工戸数は、消費税の駆け込み需要の反動減が一巡し回復を始めた。2015年6月は前年比+16.3%の大幅増で年率換算値は103.3万戸と1年半ぶりに100万戸を超えた[図表1]。
特に分譲マンションは前年比で+82.8%の大幅な増加だった。首都圏の分譲マンション新規発売戸数は、リーマンショック直後の2009年に次ぐ近年で最も低い水準で推移している。
地価動向
大都市圏を中心に、都心部の地価は引き続き上昇傾向にあるが、全体的に上昇地点の増加ペースは緩やかになりつつある。地価LOOKレポートによると、特に地方圏では上昇地点の構成比が減少する一方、横ばい地点の構成比が増加し始めた。
野村アーバンネットによると、東京都心部の商業地では地価の回復が顕著となっている。中央区銀座では前年比+12.8%、港区北青山では同+42.9%の大幅な上昇だった[図表2]。