ピーター・リンチ氏は、運用したファンドの資産を13年間で777倍にした伝説を持つ稀代の投資家である。同氏は自著「ピーター・リンチの株で勝つ」の中で投資対象企業選びの13のポイントをわかりやすく説明している。緻密な分析の上に成り立つ彼独自の選択視点は投資家が投資をする上で参考になるポイントも多いだろう。

その13のポイントの中に「代わり映えのしない業容」がある。今回はこれについて解説していく。

「代わり映えのしない業容」に注目する理由とは?

ピーター・リンチの13の選択肢はどれもエキセントリックに見えがちだが、実は彼の投資の根拠が垣間見られる。

「面白みのない、または馬鹿げている社名の会社への投資」というのもかなり刺激的な書き方だが、「代わり映えのしない業容」もそれに一脈通じるものを感じさせられる。

それは、通常投資のプロがほとんど目にとめないような銘柄が実はお宝投資先であるということを強く示唆しているのだ。リンチが少ない原資を777倍にまで拡大させた実績をもった時期にはインターネットもなく、投資先企業の情報を収集すること自体、かなり手間のかかるものだったことは想像に難くない。

それでも彼は一定の投資視点でその投資対象となる企業を徹底的に分析し、投資判断を下している。

「代わり映えのしない業容」の会社というのは、一般的には株価が大幅に上昇することもなければM&Aの対象としてクローズアップされることもない地味な存在といえる。上場していても出来高が多くなるわけはなく、短期に利益を上げることを目標とする投機筋からは敬遠されることはあっても注目されることはまったくない存在となる。

しかし、安定的な利益をあげていれば長期投資のポートフォリオに組み込む銘柄に検討に値する存在になってくる。そうした業容の企業にあえて投資をしているというわけだ。