企業に関する悪い噂がどこまで業績に影響するのか見極めよう
伝説の投資家ピーターリンチ氏の投資哲学に迫る本連載。【第1回】では「馬鹿げた社名の企業は狙い目」、【第2回】では「代わり映えしない業容」、【第3回】は「見向きもされない」企業というテーマで連載をお送りしてきた。 いずれも逆張り思考に根ざした選定手段であったが、【第4回】となる今回も「悪い噂」のある株は過小評価されやすい、という一見すると疑いたくなるような内容だ。しかしリンチ氏は、噂がどれほどの信憑性なのか、また有価証券報告書の数字が何を語っているのかが重要と説く。
悪い噂がある企業
20世紀における稀代の投資家と呼ばれるピーター・リンチは今でも世界の金融市場で投資家の注目を集める存在だ。
リンチは、株式相場について次のように語っている。
「10社の調査を行えば見通しが明るくなっている企業が1社はあるものである。50社を調査すれば5社はそのような企業であろう。株式市場にはいつでもウォール街が見過ごしている企業群がある」。
リンチは自らの著書で13に及ぶ銘柄選択の視点を公開しているが、すべての視点はこのウォール街の見過ごしている企業群に注がれていることがわかる。今回はその13の視点のうちの「悪い噂がある会社」を考察していく。