1.株式投資の際の指標を再確認
盛り上がっている株式市場において、投資指標を確認しておくことは冷静さを保つうえでも重要なことです。今回は株式投資における代表的な指標を再確認してみました。 株式投資をする際によく目にする指標がPER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、ROE(株主資本利益率)です。証券会社によってはリアルタイムの予想PERやPBRを掲載しているところもあります。これらの指標の意味合いをよく理解し、相場の中でどう判断するべきなのかということも併せてみていきましょう。
2.PER
PERとは「Price Earnings Ratio」の頭文字をとったものであり、株式収益率のことを指します。「株価÷1株あたり当期純利益」で計算できます。1株あたり当期純利益は決算発表の際に企業側が決算報告において翌期の予想をしている場合もありますし、証券会社などが独自の決算予想に基づいて算出している場合もあります。 自分でPERを計算したいときにはこれらの数値を参考にすると良いです。
PERの意味は計算式からもわかるとおり「株価が1株あたり当期純利益の何倍になっているか」ということになります。これは「投下資金を何年で稼ぐのか」と言い換えることもできます。例えばPERが10倍であれば、株価は1株あたり当期純利益の10倍となっていることを示し、投下資金分を10年で稼ぐということになります。PERの数値が小さければ小さいほど割安であり、PERの数値が高ければ高いほど割高であると判断されますが、PERが小さい数字でありながら放置されているような銘柄は、一過性の特別利益が計上される予定であったり、会社発表の業績予想に現実味がなかったりする場合があります。また、急成長が見込めるような銘柄の場合には、PERが高くても買われ続けることもあります。
3.PBR
PBRとは「Price Book-value Ratio」の頭文字をとったものであり、株価純資産倍率のことを指します。「株価÷1株あたり純資産額」で計算できます。1株あたり純資産額については1株あたり当期純利益と同様、企業が決算発表をした際に公表されています。1株あたり純資産額については翌期の予想数値ではなく直近決算における数値となります。つまり、実績値ということです。
PBRは計算式からもわかるとおり「株価が1株あたり純山岳の何倍になっているか」ということを表しています。つまりPBR1倍の場合には、株価と1株あたり純資産額が同じということになります。一般的にはPBR1倍を割ると株価が解散価値を下回るので割安だと判断されていますが、この点には注意が必要です。なぜならば、企業によって保有している資産状況は異なるからです。 キャッシュリッチな企業と、無形固定資産が多い企業とでは同じPBR数値であっても、投資魅力は変わってきます。PBRの数値が低いまま放置されている銘柄がある場合には、貸借対照表などの決算資料を確認し、その資産状況をしっかりと把握しておくことが重要となってきます。
4.ROE
ROEとは「Return On Equity」の頭文字をとったものであり、自己資本利益率のことを指します。似たような投資指標にROAというものがありますが、これは「Return On Assets」の頭文字をとったものであり、総資本利益率のことを指します。ROEは「当期純利益÷自己資本×100」で計算でき、単位はパーセントとなります。ちなみにPBRをPERで割ってもROEを求めることができます。
ROEは収益性を確認する際に利用される投資指標の1つであり「株主資本を使ってどれだけ効率的に利益を獲得することができたか」ということを意味します。ROEが高ければ高いほど効率的に利益を獲得していると言えますが、あまりに高いROE数値には注意が必要です。なぜならば、高いレバレッジ、つまり、自己資本を大きく上回る大きな借入して、事業展開している可能性があるからです。ROEが高い数値であるのに放置されているような銘柄を見つけた場合には自己資本比率等や負債状況も確認してみると良いです。またROEがあまりに低い場合、株主資本を有効に活用していないと見做され、株主配当を厚めにするよう投資ファンドなどから求められるケースもあります。
どれを重視するかというよりもバランスが重要
今回、PER、PBR、ROEという3つの投資指標をみてきましたが、どの指標が最重要なのかということはありません。どれも重要な指標となってきます。1つの指標に重きを置かず、3つの指標のバランスを見ながら投資をすると良いです。証券会社によっては、これらの投資指標の数値を入力してスクリーニングを掛けることができるところもあります。このようなスクリーニングサービスを利用すれば、効率的に投資銘柄探しをすることも可能です。
但し、実際に投資をする際には、これらの指標だけで判断するのではなく、きちんと決算書なども確認しておきましょう。PBRの部分でも述べましたが、同じ数値であっても、企業によってその中身は大きく異なります。スクリーニングはあくまでも候補を見つけるだけの作業です。そこからさらに財務分析をすることで失敗を回避できる可能性が高まります。
また、投資候補先の投資指標の業界平均はどうなのかということをチェックしておくことも重要です。上昇相場にあってもこれらの作業をすることで、魅力的な銘柄を見つけることができる可能性もあります。