(写真=PIXTA)
「失われた20年」と言われてきたように、日本経済はこれまで長期の経済低迷とデフレに陥っていた。この状況では物価が下がり続けるため、同じモノを買うにしても、時間が経てば経つほど安価で購入できるという状態が続いていた。
しかし、アベノミクスによる大胆な金融緩和で状況は一変。日本銀行がインフレ目標として「物価上昇率2%」を設定。これから先は「今日1万円で買えたものが、将来はそれ以上を支払わないと購入できなくなる」というインフレリスクと向き合わないといけない。「とりあえず貯金」で損をする前に、インフレリスクに備える5つの方法を取り上げる。
①その他のリスクに要注意「不動産」
インフレ時の貨幣価値が下がる中では、「実物資産」となる不動産は相対的に価格が上昇するとされ、インフレリスクに対しては有効な手段の1つとなる。不動産投資では、安定した家賃収入が期待できる一方、空室や家賃の下落といったリスクがあるため、注意が必要だ。不動産物件の投資に踏み切れないという場合は、不動産の投資信託であるREITも選択肢に入る。
②敷居は低い「株式」
景気を先取りする株式は、インフレ時には価格上昇が望める。株価の値上がりによるキャピタルゲインのほか、配当金として分配されるインカムゲイン、株主優待などのメリットもある。不動産投資と比較すると、敷居は高くないかもしれないが、投資した会社が倒産すれば、文字通り株は紙切れ同然となり、インフレリスクをヘッジするどころか、資産そのものを失う可能性は避けられない。
③価格上昇のチャンスもある「金」
不動産や株は経済に馴染みのない人にとっては身近な存在ではないだろう。一方で、「金」は装飾品などで馴染みがあり、インフレリスク対策としてはとっつきやすい対象かもしれない。金を保有しても利息収入が得られるわけではないが、世界情勢の混乱や紛争の際には、「有事の金」として買われることが多く、各国の中央銀行も有事の備えとして金を保有している。貨幣や株価は発行体の信用がなくなれば、価値がゼロになるのに対し、金はそのものに価値があるため、リスクヘッジの手段となりえる。また、直近10年では、金価格が3倍以上に値上がりしており、価格上昇に乗じるチャンスもある。
④不動産、株よりは低リスク「物価連動国債」
インフレ率2%をターゲットにしていても、その通りには事が運ばないこともある。不動産や株式では、インフレ率を上回るリターンが期待できる一方、リスクとも向き合わなければならない。しかし、こうしたリスクを恐れ、定期預金に資産を保管していると、お金の価値の減少は避けられない。定期預金以上で不動産・株式投資未満のリスクヘッジとして物価連動国債が挙げられる。元本部分が生鮮品を除く全国消費者物価指数(コアCPI)の動きに連動して増減するため、仮にCPIが2%上昇すれば、元金部分も2%増える仕組み。満期償還時は額面金額を下回らない仕組みが導入されているが、投資家は額面金額より高い発行価格で購入するため、満期まで保有した場合でも満額回収できない場合もあるので注意が必要だ。
⑤資産の目減りを抑える「外貨預金」
インフレ時には通貨の実質的な価値が下がるため、為替市場ではインフレ下にある通貨を売って他の通貨を買う流れが発生し通貨安となる。円安となれば、外貨預金は為替差益が生じるのでインフレによる資産価値の目減りを抑えることに役立つ。一方、インフレからデフレになると一般的には円高にシフトしていくため、為替差損が発生する。(ZUU online 編集部)