「最大のライバル」新Apple TVの発売を目前に控え、欧州で突如値上げに踏み切ったNetflix。Appleという無敵のブランドネームには、「質の高いコンテンツと低料金」で対抗すると予想されていただけに、この意外な展開に誰もが驚きを隠せない。戦略の一部として更なる低価格を打ち出すならばまだしも、なぜこの時期にNetflixは値上げを決行する必要があったのか?

視聴料金が変更されたのは2つのデバイスで同時ストリーミングが可能な最も人気のスタンダードプランで、米国・カナダでは月額8.99ドルから9.99ドル(約1081円から1201円)に、イギリスでは7.49ポンドから7.99ポンド(約900円から960円)に値上げされた。

既存ユーザーは1年間追加料金が免除されるが、昨年の5月から2度目の値上げとなるだけに、「Apple TVは勿論、低料金で様々な特典がウリのAmazonプライムと対等に戦うことができるのか」という懸念が一部でささやかれている。


今後10年間徐々に値上げ予定

Netflixは今回の値上げついて「より多くのオリジナル・コンテンツを提供するため」と、事業拡大を強調しており、今年下旬に予定されているNetflix初の長編映画についても触れている。

共同設立者兼CEOリード・ヘイスティングス氏は6月に値上げ予定を発表した際、夏までは料金を据え置くが、今後10年間にわたって「コンテンツを増やし、サービス内容に見合った料金設定に変更する」意思を明らかにした。また「同じアカウントでパスワードの使い回しができないように、システムを強化することも検討中である」と付け加えた。


返済期限が迫る100億ドルの債務

しかしカナダのモントリオール銀行系投資会社BMO キャピタル・マーケッツのエクイティ・アナリスト、ダニエル・サーモン氏は調査レポートの中で、「『ストリーミング・コンテンツの帝王』の座を確立したNetflixだが、債務も急激に増加している」と、Netflixが抱えているコンテンツ制作費(100億ドル/約1兆 2026億円)の債務を理由にあげている。

そのうち42億ドル(約4810億4000万円)の返済期限が1年以内、48億ドル(約5772億 4800万円)が1年から3年以内に迫っているというのだ。「国際事業の拡大にともない、制作費用による債務は増加の一方をたどるだろう。しかし国際的スケールで事業が成功すれば、購読料金の値下げにつながるはずである」

またウォール街のアナリスト達は、「今回の値上げが国際事業の促進とオリジナル・コンテンツの拡張に貢献するのであれば、長期的にはNetflixにとってプラスの動きといえるだろう」とポジティブな見方をしている。値上げ発表直後の8日、Netflix株は一時的に急落したが現在上昇傾向の133ドル(約1万 5994円)前後で落ち着いている。 (ZUU online 編集部)

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