The Micro:bit
(写真=HPより)

英国では、刻々と変わるインターネット社会に対応しようと、政府がデジタルサービスの大変革を行っている。中でもIT教育およびIT人材育成に国家戦略として取り組み、2014年からは、義務教育のカリキュラムに「プログラミング科目」が正式に導入されている。


5歳からプログラミング必修、BBCが小6にコーディング教材配布

KS1(Key Stage 1)として5歳からスタートする公立小学校の「プログラミング科目」の指導内容は、「アルゴリズムの理解」「簡単なプログラムの作成、デバック」「デジタルコンテンツの作成、活用」など。授業の時間数は学校、教師に委ねられているものの、英国では5歳から何らかのプログラミング技術を習うことになる。

こうした動きに伴い、BBCは今春、「Make it Digital」というキャンペーンを掲げ、1年を通してコンピュータやプログラミングに親しみを持てるような企画や番組を発表。向こう5年の間に140万人ものデジタル技術者が不足となる事態に備え、新しい世代を育成しようという試みだ。

中でもBBCが英全土の7年生(11〜12歳、日本の小学6年生)に無料で配るというコーディング教材「Micro:Bit」は注目を集めている。

「Micro Bit」はBBCがマイクロソフトやサムスンなど29のパートナー企業と開発した、小型のボード型コンピュータ。縦4センチ、横5センチの小型ボードの表面には、マイクロUSB端子、電源コネクタ、プロセッサ本体、Bluetoothアンテナ、加速度センサー、コーディングを収容するリセットスイッチがあり、裏面には25個のLEDライトと2個のボタン、クリップ接続可能なカードエッジ端子が備わっている。

子供たちはパソコンやスマートフォンのアプリを通して簡単なコードを記述することで、ボードにさまざまな機能を持たせることができる。

例えばLEDライトで自分の名前を表示したり、ゲームと接続してスコアボートにしたり、モーションセンサーを利用して楽器を作ったりできる。簡単な機能からより複雑なものまで、アイデア次第で用途は広がる。プログラミングの知識がまったくなくても簡単に使うことができ、生徒たちがプログラミングの初歩の初歩を学び、プログラムによってモノを動かす喜びを体感できることが狙いだ。


年末には一般販売も

BBCでは30年前に「Micro Bit」の前身ともいえる「BBC Micro」をコンピュータ教育のための学校向け教材として開発した。多くの学校で導入されたが、教師側に専門性を問われることが課題だった。その点、「Micro Bit」は教師にプログラミングの経験がなくても、すんなり教えることができるのもありがたい。

「Micro Bit」の配布はこの10月を予定していたが、配布の数週間前になり電源がうまく持続しないことから、ボード内に内臓するコイン式電池ではなく、単3電池に切り替えることになり、現在、配布は来春を予定していている。

教材として上述の生徒のみに配られる予定だったが、国内外での一般販売も検討されている。年末の発売に向けてライセンス提供のための組織準備などが進められているというから、日本の小学生が手にする日も近い? (ZUU online 編集部)

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