米JPモルガン・チェースが傘下のハイブリッジ・キャピタル・マネージメントを独立させる最終準備に入っていることが明らかになった。
譲渡後も一部のポートフォリオは保有
スピンオフについての協議が持たれていることは昨年一部のメディアで報道されていたが、米ウォール ・ストリート ・ジャーナル紙が報じたところでは、「ハイブリッジの未公開株220億ドル(約2兆6395億円)相当がスコット・カプニックCEOを含む複数の幹部に譲渡される」形で合意に近づきつつあるという。
これに対しJPモルガンは「60億ドル(約7198億5000万円)のハイブリッジのヘッジファンド・ポートフォリオを継続して保有する」という条件を交渉の一部に提示していると同時に、分社後も独自のプライベート・エクイティ体制で投資を続けていくと見られている。
事業の簡潔化を求める規制当局
2004年から2009年にかけてハイブリッジの全株を取得したJPモルガンだが、経済危機以降大手銀行はヘッジファンドやプライベート・エクイティを整理しざるを得ないプレッシャーにさらされている。
その要因の1つとして、ボルカー・ルール改正により銀行が自らの資金を高リスク投資に運用することが禁じられたという事実があげられている。
また資産運用経路が不透明な傾向が見られるため、「事業を簡潔化せよ」との要望が規制当局や投資家から寄せられており、銀行側はそれに応じるかたちで資産を手放し始めたものと推測される。
CETCの調査についてはノーコメント
ハイブリッジ側はスピンオフの理由を「大手銀行から独立し、制約から解き放たれたい」としているが、実際は背後にある米商品先物取引委員会(CFTC)の存在が大きいという見方もある。
CETCはハイブリッジがJPモルガンの傘下となった2004年以降、多額の運用資産がJPモルガンからハイブリッジに流用されている事実に疑問を唱え、現在その経過を調査中である。
調査が明るみにでた当初、JPモルガンはハイブリッジを軌道に乗せる目的で、自己資本とサードパーティーのヘッジファンドを投資したことを認めていたが、調査についてはノーコメントで通した。
こうした行為はボルカー・ルールには違反しないが、かなりの金額がJPモルガンの顧客の預金から投資されていることから、「顧客に対して公平な説明がなされていたか否か」が調査の焦点となっている。関係者は「調査は来年には終了するだろう」という見通しを立てているが、今回のスピンオフには両社ともにイメージダウンにつながりかねない要因を排除する目的もあるのかもしれない。(ZUU online 編集部)
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