クレディ・スイスが事業改革計画の一環として、アジアおよび欧州でのマクロトレーディングから撤退することを明らかにした。マクロトレーディングとは、個別銘柄への投資ではなく、経済指標を見ながら株価指数などを対象にトレードすることだ。この決定により少なくとも2000人のロンドン・トレーダーが職を失うことになる。


原点に戻り、本拠地と資産管理に集中

第3四半期に赤字に陥った名誉挽回とばかりに、6 月の就任以来利益の押し上げに力を注いでいるティージャン・ティアムCEO。資金源泉を枯渇させるだけで十分な利益をもたらしていないマクロトレーディングを、これを機に切り捨てる決断に至ったものと思われる。

米メディアのインタビューに応じたティアムCEOは、今後は本拠地であるスイスと資産管理に重点を置く方針を打ち出し、「十分な資本を調達することができれば、第3四半期のような結果にはならない」とコメントした。

今回の事業改革には幹部の編成も含まれており、取締役2人が新メンバー6人と交代する。


ヘッジファンド顧客へのサービスも切り詰め 成長分野には投資

決定打となった投資部門の崩潰は、7月から9月にかけての純利益が予想を大きく下回り、1億3100万ドル(約158億2677万円)の税引前損失となったことだ。

ティアムCEO はロンドンで行われた投資家イベントで、米国で小規模のマクロ・トレーディングを展開するのみにとどめ、1年間でリスク加重資産を50億ドル(6040億7500万円)に縮小する予定であることを発表。またヘッジファンド顧客を対象としたプライムサービスも、70億ドルに切り詰められる。

その一方で、今後3年間にわたり成長分野へ15億フラン(約1845億4499万円)の投資を行うなど、前向きな改革に意欲的な姿勢を見せている。


JPモルガン、ドイツ銀、バークレイズなども事業縮小

世界規模で混乱する経済市場や規制強化のあおりを受け、大胆な改革を余技なくされている銀行はクレディ・スイスだけではない。

先日傘下ハイブリッジを独立させたJPモルガンを筆頭に、欧州ではドイツ銀行、英バークレイズ銀行、USBグループなどの最大手が次々と事業を縮小する動きに入っている。

専門家は、こうした欧州銀行の流れはあくまで一過性のものであり、「投資を継続する部門と、将来的な売却や合併を視野に入れた縮小部門を2分割し、資本源泉の強化に集中する意図がある」と見ている。 (ZUU online 編集部)

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