英国中央銀行金融政策委員会(MPC)が11月4日、再び利上げの見送りを発表したことにより、以前からささやかれていた『米国の利上げを待ち説』が、さらに信ぴょう性を増している。


「利上げよりインフレ目標達成を優先」カーニー総裁

過去6年間半にわたり英国経済を支えた『低金利神話』に、いよいよ終結が訪れるのではないかという一部の予想を裏切り、英中央銀行(BOE)のマーク・カーニー総裁を含むMPCメンバー9人による見送り投票は、前回同様8対1と有無を言わせぬ結果に落ち着いた。

現状維持(0.5%)の理由として、「新興経済弱化の影響」や「英国内における低インフレ率」などが、投票時に発表された最新のインフレ・レポート内であげられている。エネルギーや食料品などの価格が下降傾向にあることから、少なくとも来年後期までインフレ率が1%以下にとどまると見られており、カーニー総裁は「利上げ実施前にインフレ目標を達成すべきだ」とコメントした。


ハト派なインフレレポートにエコノミストから落胆の声

しかし国際的資産運用会社、アバディーン・アセット・マネジメントのエコノミスト、ポール・ディグル氏は、「原油価格の下落、失業率、新興市場の失速-次から次へと延期の言い訳が飛び出す」と利上げの時期については懐疑的だ。

試験導入期間として来年5月から0.25%増の利上げを予測する声もあるが、ディグル氏は今回のレポートが「驚くほどハト派だった」と指摘。

BOEは現在直面している国際問題を考慮に入れ、「2年計画でインフレ目標を現在の2%以上に引き上げる」と打ち出しているが、リスクの可能性も示唆されていることから、実際にはそれよりも長い期間が導入に必要とされるだろう。

その一方でカーニー総裁は「2017年前半までに利上げが実施されなければ、インフレ目標をはるかに上回ってしまうだろう」と、適切な導入時期の判断がいかに重要かという点を強調した。


米は12月、英は2016年末導入の可能性が濃厚

利上げ導入にあたり、世間はカーニー総裁の立場の複雑さに理解を示しているが、66カ月連続で「見送り」が決定された今、結局は米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切るまでは、「絶対的な決断」を回避しつづけるのではないか-という見方に世論が傾いても不思議ではないだろう。

現時点では米国の利上げは12月に実施される可能性が高まっており、「続いて英国は2016年末頃に本格的な利上げに乗り出すだろう」という線が濃厚だ。(ZUU online 編集部)

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