以前から「FRB(米連邦準備制度理事会)は利上げの時期を逃した」と警告を発してきた米資産運用会社ジャナス・キャピタル・グループのマネージャー、ビル・グロス氏。
「遅すぎる、低過ぎる利上げ」を目前に控え、グロス氏が「債券王」の見解を英投資情報誌に打ち明けた。
イールドカーブのフラット化は利益抑制を意味する
ゼロ金利の下限周辺で見られる短期金利と長期金利を結ぶライン(イールドカーブ)が不自然にフラット化していることを指摘し、「これでは利益拡大は抑制されてしまう」と自らの『イールドカーブ論』に基づいて分析。
フェデラル・ファンドと30年債を同じイールドカーブ上に共存させようとすれば、投資家達に長期的に還元できるものがなくなり、「資本主義は機能しなくなる」と懸念を示す。
こうしたゆがみは、熟しすぎたゼロ金利政策、巨額の負債、支払不能と“流動性の落し穴”への懸念など、様々な要因が積み重なり、40年にわたる経済の歴史にズレを生じさせ続けた結果だという。
米経済には「アベノミクス」が効果的?
銀行や金融機関が利益を縮小せざるを得ない状況下では、企業の経済が伸び悩んでも当然だが、グロス氏の提案する打開策は意外にも分かりやすい。
「イールドカーブに傾斜をもたせ政策金利を高めに設定すれば、銀行はマージンを増加させ、可処分所得を伸ばすことが可能になる」と、2012年から日本で実施されている「アベノミクス」を推奨。
「米国もアベノミクスを手本にインフレ目標を高めれば、日本のようにデフレや不景気も回避出来るし、株価も上昇させられる」と自信満々に語る。
2兆ドル相当の売買操作で傾斜を持たせる
また同時期にによって実施された「オペレーション・ツイスト」(通貨供給量に変動させず、金利を方向転換させる意図での長期、短期証券の同時売買操作)の復活も提案。
2兆ドル(約243兆6127億円)相当の長期米国債と不動産住宅ローンを2年債から5年債に振り分ければ、「イールドカーブに傾斜が生まれる」というわけだ。
ここ数年「ロス」の多いグロス氏だけに、これらの提案がどこまで効力を持つのか判断に苦しむが、興味深い戦略であることは確かだろう。(ZUU online 編集部)
【関連記事】
・債券王グロス氏の後ろ盾 ソロス氏いつの間にかジャナスから撤退
・11月4日、郵政上場初日の値動きに合わせた投資戦略を徹底公開
・日本人大富豪ランキング トップ20の顔ぶれはこれだ!
・日経新聞/日経MJから、四季報まで全てネットで閲覧可?その意外な方法とは
・世界が認めた日本車!「最も価値の高い自動車ブランド ベスト10」頂点に輝いたのはあの日本ブランド?