目次

  1. 撤退の判断も早い
  2. 「厄」の残るグロス氏 相次ぐ顧客離れ
  3. ソロス氏大物の貫禄 負け勝負は引き際が肝心
  4. ジャナスCEOワイル氏「グロス氏は債券業務にかけてはベストのマネージャー」

撤退の判断も早い

損切りは投資の基本だが、ジョージ・ソロスの場合損切りの判断も早い。本連載最終回である【第7回】では、ソロス氏が大金を投じた後に早期撤退した事例について紹介する。

今回紹介する案件があったのは2014年~2015年のことなので、その後ソロス氏が他の投資案件で成功していることは周知の通りだ。つまり、一つの案件で失敗した場合早めに切り替えて次に行く、ということの重要性がよくわかる。

「厄」の残るグロス氏 相次ぐ顧客離れ

2014年話題をさらった債券王ビル・グロス氏のジャナス・キャピタル・グループ移籍にともない、5億ドル(約603億4748万円)を投資して太っ腹なギャンブル魂をみせたジョージ・ソロス氏。しかしその後わずか1年足らずで完全撤退した。

自らの手で育てあげたPIMCO(パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー)を2014年追われるように退任。その後PIMCOの顧客を引き連れてジャナスに移籍したグロス氏。自身のネームバリューと「世界一の投資家」ソロス氏が大金を投じたことで、ジャナスの株価は一時的に37%高騰した。

「PIMCOの逃がした魚は大きい」と世間に証明できるかと思われていたのも束の間、PIMCO末期からつきまとう“厄”は払われておらず、期待されていた『無制約の債券ファンド』も2015年初頭から10月末日までは1.5%減(モーニングスター調べ)。ベンチマークは0.22%上昇していたが、ライバルの類似商品と比較してみると74%も低迷していたという。

また2015年9月の時点で、資金流出が4550万ドル(約54億9162万円)。資金流入が3560万ドル(約42億9674万円)。資金流出が資金流入を上回っていたという事実も、ソロス氏を含む従来の顧客をつなぎとめておく上で有利には働かなかっただろう。

ソロス氏大物の貫禄 負け勝負は引き際が肝心