目次

  1. インタビューでドイツに警鐘を鳴らす
  2. メルケル首相とはオープン社会の尊重以外では意見が合わず
  3. 「ドイツにEU支配者となる覚悟があるか否かが問題だ」

インタビューでドイツに警鐘を鳴らす

ジョージ・ソロスの言動について紹介してきたが【第6回】ではソロス氏が過去に受けた経済誌のインタビューについて紹介する。ソロス氏の当時の市場分析にももちろん注目する価値があるのだが、それと同時に肯定・否定問わず思ったことを主張している点も注目すべきポイントだろう。

以下に紹介する内容は、ドイツの経済誌に対して答えた内容だということを意識して読み進めてほしい。ちなみにインタビューの内容と直接は関係ないが、ソロス氏はハンガリー出身のユダヤ人で、アメリカ国籍だ。

メルケル首相とはオープン社会の尊重以外では意見が合わず

ドイツの経済誌『WirtschaftsWoche』のインタビューで自身の政治見解について語ったジョージ・ソロス氏は、ギリシャ、ロシア、ウクライナなどで相次ぐ経済危機、深刻化する難民問題、テロの影響、英国のEU離脱などをEU崩壊の要因に挙げ、「それを止めることができるのはドイツだろう」とコメントした。

米TIME誌の「Person Of The Year」として、「自由の国の首相」という見出しとともに表紙を飾ったドイツのメルケル首相が、リーマンショック時に欧米から公的資金援助を受けたことに対し、民衆の反応を気にしすぎていた過去をソロス氏は振り返った。

「もしあの時メルケル首相が民衆の意見を変えようと努力していたら、現在EUが抱えている悲劇は回避できたかもしれない」

そうネガティブな見解を示す一方で、「メルケル首相は難民問題がEUに深刻な問題をもたらすことを予想していた」と指摘。

増加する難民を次々と受け入れ、当時窮地に立たされていたメルケル首相だが、ナチスの迫害を身をもって経験したソロス氏は、オープン社会を尊重するという点ではメルケル首相に同意していた。「ただしそのほかの多くの点では、意見が合わないが」とも言いながら。

「ドイツにEU支配者となる覚悟があるか否かが問題だ」