60歳以上は「相続対策と老後生活」のことを考慮
60歳代では、長い老後生活が始まったばかりでしょう。この世代の方であれば、相続税対策を考えるときには、自らの老後生活資金についても一緒に考えておきたいところです。
不動産を活用して相続税対策をしようと考える方は、かなり多額の資産を持っているはずですが、それでも生活資金は馬鹿にできません。老夫婦が1年間生活するのに必要な金額を600万円(※)とすると、25年間(60歳から85歳と仮定)で1億5000万円になります。いくつかの不動産が吹き飛ぶくらいの金額です。
そこで大切なのが、家賃収入を生活費の一部にあてるという考え方です。資産価値が下がらないことや値上がり益を重視することも大切ですが、それ以上に高い入居率を維持できる物件を探しましょう。超高額な物件ではなく、もう少し価格が安くて取引量が多い不動産を選ぶと、高い入居率を維持しやすくなるでしょう。確実な家賃収入を見込むことができれば、より多くの資産を不動産に向けることができ、より効果的に相続税評価額を減少させることができます。
※一般に、老夫婦がゆとりある生活を送るのに必要な生活費は約420万円と言われています。ただ、大きな家に住んでいる場合は、固定資産税・水道光熱費・家の維持費などでかなりの金額が必要となるので、年間600万円と見積もっています。
現役世代は「相続対策と利回り重視の資産運用」を!
相続税対策をするのに早すぎるということはありません。あなたがまだまだ現役世代だったとしても、不動産を活用して相続税対策をしておくことが可能です。しかも、財産を増やすことも念頭に置いた強気の不動産投資ができるでしょう。
現役世代はまだまだ通常の収入が見込めるため、資産を寝かせておくくらいなら不動産投資でさらに増やしたいと考えている方も多いでしょう。この場合、「税金を減らすこと」よりも「相続税を払った後に残る資産を少しでも増やすこと」が大切です。つまり、利回り重視で資産を増やしていけば良いということになり、具体的な対策を行う必要がないということもできます。
しかし、不動産を保有する法人を設立すると、資産を増やしながら相続税対策をすることも可能です。あなたが出資して会社を設立し、その会社が不動産を購入して賃貸経営を行います。家族経営の会社であれば、個人資産の場合とは異なる税金対策をすることが可能です。子供を役員にしておけば、所得を分散させて所得税を抑えることができます。
また、この場合、相続の対象となるのは会社の株式です。不動産よりも生前贈与がしやすいため、よりスムーズな財産移転をすることができるでしょう。
奥田 周年 (おくだ ちかとし) 税理士。
OAG税理士法人
資産税部 部長執筆書籍は、遺産相続と相続税がよくわかる本(日本文芸社:監修)、ずるいぞ!その相続(かんき出版:編著)、Q&A相続実務全書(ぎょうせい刊: 共著)等多数。相続税・贈与税の専門税理士でチーム相続を組織し、
メディア
を主宰。
【関連記事】
・「遺言書」の準備をしておきたい6つのケースとは?
・11月4日、郵政上場初日の値動きに合わせた投資戦略を徹底公開
・日本人大富豪ランキング トップ20の顔ぶれはこれだ!
・日経新聞/日経MJから、四季報まで全てネットで閲覧可?その意外な方法とは
・世界が認めた日本車!「最も価値の高い自動車ブランド ベスト10」頂点に輝いたのはあの日本ブランド?