株式投資などを始めるには証券会社に証券口座を作らなければならない。その口座開設にあたって実は、いくつかある口座種別から一つを、投資家は選ぶ必要に迫られる。特に、今まで投資経験のない初心者にとっての迷いどころの一つでもあるだろう。

そこで「投資をはじめたい」「証券口座を開設する」と株式投資などに初めて投資する投資家のために、われわれが開設できる口座の種類とそれぞれのメリット・デメリットについて解説する。

目次

  1. 投資のための証券口座は3種類
  2. 源泉徴収ありの特定口座とは
  3. 源泉徴収なしの特定口座とは
  4. 3つ目の証券口座「一般口座」とは?
  5. 投資初心者にとっては特定口座(源泉徴収あり)が無難

投資のための証券口座は3種類

証券会社に開設できる口座には、大きく分けて2種類がある。「特定口座」と「一般口座」だ。加えて、特定口座の中にも、「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の種類分けがあり、都合、3種類の口座がある。

ざっくり言えば、源泉徴収ありの特定口座、源泉徴収なしの特定口座、一般口座の3種類を証券会社が用意しており、投資家は口座開設にあたって、これらの3種類から一つを選べるというわけだ。ただ、3つのタイプの口座はNISA(少額投資非課税制度)とは別で、NISAはまた別に口座を一つ、投資家はNISA用の口座として開設できる仕組みだ。

源泉徴収ありの特定口座とは

すでに挙げた3種類の口座それぞれの特徴を説明しよう。特定口座とは、年間の損益を証券会社が計算してくれる口座のことだ。まずはその中で「源泉徴収あり」の特定口座について説明したい。

証券会社に口座を開設するときに、「源泉徴収あり」の特定口座を選択していると、証券会社が税額を計算して、取り引きの結果から、あらかじめ税金を差し引いてくれるようになる。つまり、証券会社の顧客となるわれわれ投資家は、税金が源泉徴収された後の利益を受け取ることになる。

また、源泉徴収後に別の取り引きで損失が発生した場合には、源泉徴収額が戻されて返ってくる仕組みとなっている。

よりわかりやすくたとえて言うならば、「源泉徴収あり」の特定口座は税金が源泉徴収された後の給与を受け取るサラリーマンの給料のようなものだ。源泉徴収の繰り戻しは年末調整のようなものと理解すればいい。利益や税金についてのめんどうな計算をせずに済み、確定申告をしなければならないわけでもない。

そのことから、株式の譲渡益が合計所得金額に含まれないこととなり、配偶者控除などの優遇規定に影響が出ないというメリットもある。

源泉徴収なしの特定口座とは

これに対して、「源泉徴収なし」の特定口座もある。同口座の場合は、証券会社があらかじめ税金を差し引くことはない。

その代りに、投資家はいったん税込で利益を受け取り、翌年1月に年間の取り引きを通算して、いくらの利益が出たのかを計算した年間取引報告書を受け取ることになる。また、報告書を元に、投資家個人が確定申告を行わなければならない。

より分かり易く言えば、源泉徴収なしの特定口座を使う投資家は自営業者のようなものだ。通常の事業所得と違うのは、年間の損益を証券会社が計算して年間取引報告書として送ってくれるので、それを頼りに確定申告を行えるということだ。一つひとつ取引についての損益を計算する手間が、省けるのだ。

ただし、複数の証券会社に口座を開設すると、年間取引報告書は証券会社毎に送られてくる。そのため、すべての証券会社の口座での取り引き記録を合算して、損益と税額を計算しなければならないことにも注意しなければならないだろう。

3つ目の証券口座「一般口座」とは?

一般口座の場合には、すでに説明した「源泉徴収あり・なし」を選択できる特定口座に対して、証券会社は口座の年間損益を計算しない。そのため、確定申告にあたって投資家は、すべての取引の損益を自分で計算しなければならない。

年間の取引回数が少ない場合、計算は比較的たやすいかもしれないが、頻繁に取り引きをしていたり、複数の証券会社を利用している場合は、投資家自身が損益を通算しなければならない。証券会社からは、取引報告書が送られてくるが、計算違いも犯しやすいという落とし穴もあると言えるだろう。

2010年末までは、一般口座には「みなし取得費の特例」を使えるというメリットがあったが、今はもうない。一般口座を開設するメリットについては、大きく縮小したといってよいだろう。

投資初心者にとっては特定口座(源泉徴収あり)が無難

投資初心者は、手間が少なく、間違いを防げるといったメリットがあることから、税金の計算をせずに済み、別途確定申告をする必要もない「源泉徴収ありの特定口座」を開設するのが無難だろう。

また、証券会社に開設する口座の種類を選ぶ際に、神経質にならなければならないわけではない。将来のさまざまな使い方を想像すると、心配になるかもしれないが、後々、開設した証券口座の種類を変更することもできるからだ。証券の譲渡(売却や配当金などの受入れ)の受渡しが発生していなければ容易に変更できるし、発生していても翌年から可能となっている。

つまり、ある程度まで投資に習熟して、源泉徴収なしの特定口座のメリットの意味を理解し、それを享受したくなってからの変更でも十分なのだ。(ZUU online 編集部)