「史上最低金利」といわれていたマイナス0.02%の預金金利を、3日に行われた理事会でさらにマイナス0.03%まで引き下げることを発表した欧州中央銀行(ECB)。実施に慎重な姿勢を強めながらも、確実に9年ぶりの利上げ方向に傾いている連邦準備理事会(FRB)との政策の差が、今後世界経済におよぼす影響は計り知れない。


15日の発表が待たれる米国 行き詰まった様子の欧州

FRBは米経済が「予想していたほど上向きではない」と認める一方で、雇用拡大や賃金引上げを基盤に利上げに踏み切る意思を曲げる様子を見せていない。15日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)で、今後を左右する大きな発表があると予想されている。

一方欧州では、銀行を含む金融機関の懸念を押し切った追加緩和政策により、伸び悩む経済成長や様々なリスクへの懸念が益々高まるだろう。その上、テロ被害でパリのビジネスが失速する可能性も高く、欧州経済は完全に行き詰まった状態に見える。


新興経済の失速が緩和政策のマイナス原因

大方の予想通り「主要政策金利を0.05%、限界貸出金利を0.03%に据え置くことをECBは理事会で発表。

マリオ・ドラギ議長は「追加緩和がもたらすリスクについては認識している」としながらも、毎月600億ユーロ(約8兆 489億円)相当の国債買い入れを2017年3月まで継続し、必要があればさらに延長する意思を表明した。

緩和政策がこれまで期待されたほどの成果をあげていないという点については、新興経済の失速を1つの原因として挙げ、「段階を踏んで欧州の景気回復に貢献している」と主張。

ECBは今年中にはデフレに持ち込める見通しを持っており、「我々は成果があがるから追加緩和を決行するのであって、失敗するためではない」と熱弁をふるった。


国際競争を弱める「ドル勝ち」は一時的な現象か

既にドルがユーロだけではなく他国の通貨を圧制している状況で、利上げと追加緩和が同じ時期に実施されれば、その差がさらに大きく開くことは容易に推測できる。

しかしドルの強化が限度をこえれば「国際経済競争」に翳りがさし、長期的にネガティブな影響をもたらすことも予測できるため、米国の「ドル勝ち」を一時的な現象と見ているアナリストもいる。

どのような結果が待ち受けているか、我々がその答えを知るのは当分先の話になるだろう。しかし根本的な問題は、「どちらの政策が功を成すか」という結果論ではなく、このように真っ向から対立する国際政策に対応するだけのシステムが確立されていない-という点にあるのではないだろうか。(ZUU online 編集部)

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