中国人民元,SDR
(写真=Thinkstock/Getty Images)

中国人民元が、世界第3位の主要通貨になることが決定した。11月30日、IMF(国債通貨基金)が理事会で、中国人民元をSDR(特別引き出し権)に採用することを正式に承認した。

これにより、中国人民元は、ドル、ユーロ、円、ポンドと並ぶ国際通貨の地位を勝ち取ったことになる。実に35年ぶりの大規模な構成変更で、実際に採用されるのは2016年10月1日からとなる。

SDRとは、IMFが出資比率に応じて加盟国に配分する仮想の準備通貨。SDRは米ドル、ユーロ、円、英ポンドで構成され、通貨危機に陥った国は、SDRと引き換えに必要な外貨を融通してもらうことができる。

今回の構成比率変更により、中国人民元は、ドル=41.73%、ユーロ=30.93%に次ぐ、第3位=10.92%を占めることになり、円=8.33%、ポンド=8.09%よりも存在感のある比率を確保することになる。


中国はSDR入りを懇願してきた要因は?

今回の決定を受け、中国人民銀行(PBOC)は「中国の経済発展と改革・開放の成果が認められた。人民元のSDR採用は国際通貨システム改善につながり、中国と世界の双方にとって有益になる」との歓迎声明を発表した。中国政府としては、国際通貨のお墨付きを得たことで、元の信用力を上げて、人民元建ての取引を増やし、為替変動リスクを避けながら海外投資を積極的に行っていきたいとの思惑があるのだろう。

そして、中国政府が、SDR入りを懇願してきた理由は外貨不足にある。12月7日に発表された、11月末時点での中国の外貨準備高は3兆4400億ドルと前月末時点と比べて872億ドル減少している。

この数字は2013年2月以来の低水準であり、1ヶ月の減少幅としては過去3番目の大きさとなった。これまで中国の国内企業は外貨準備の後ろ盾を利用して外貨の調達を行ってきたが、足元の中国人民銀行は米国債もかなり手放しており、日本円にして300兆円弱の資金をいったい何で保有しているのか実はわからない状態となっている。

民間企業は今後自助努力で外貨調達を促していくことになるが、SDR採用通貨になれば、今後は外貨を調達しなくても人民元のまま取引ができるようになれば、民間企業の輸出にはかなり貢献することになる。

外貨不足というフィルターで眺めてみるとAIIBにも積極的に取り組む中国政府の姿はかなり整合性のあるものとして捉えられる。


投資対象としてはどうか?

人民元がSDR入りするのは、実際には来年の10月以降の話であるから、直近のFXで人民元の通貨ペアを対象に売買をして利益を出せるのは、少しお預けになりそうだ。

ただし、中国の株式市場が通常の資本主義国の相場とは異なる部分をもっていることは今夏の株式市場の下落でも明確に示されている。人民元が暴落などするなどの事態に陥った場合、本当に相場が成立することになるのかどうかについては十分な注意が必要となりそうだ。正常取引として機能するようになるのかについてもしっかり見極める必要がありそうだ。

投資にリスクはつきものだが、中国の場合には、他の国際通貨と異なるリスクが背後に存在することもしっかり頭に入れておきたい。


来年早々にさらなる人民元切り下げを断行か

人民元がSDR入りを果たしたことで、市場では中国人民銀行が二つの動きをすることを想定しはじめている。

ひとつは、来年10月のSDR正式加入まで国家的な威信をかけて今の人民元のレートを死守していくというもの。もうひとつは、米国が利上げをおこなった直後の年始早々にも追加の切り下げを行うのではないかというものだ。直近の外貨準備の減少度合いを考えると、米国の利上げに連動する形で元を切り下げるのが得策とみられる。もはや国として人民元を支えきれないという現実に直面していることが見えるのではないだろうか。 (ZUU online 編集部)

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