禁煙外来
(写真=PIXTA)

厚生労働省がこのほど発表した2014年の国民健康栄養調査によると、日本男性の喫煙率は前年と同じ32.2%。この調査では「所得の低い人ほど喫煙の割合が高い」などの調査分析も話題になっている。とはいえ、2003年の受動喫煙防止を掲げた健康増進法が施行されて以来、多くの施設では管理者が受動喫煙の措置を定められたため、さまざまな公共施設において禁煙化が進められてきた。その成果もあり喫煙者はタバコを吸える場所が減りそれを機にやめる人も増えてこれまでの喫煙者は減少傾向にある。

現在、喫煙習慣のある人の中でも厚生労働省の調査によるとタバコを嗜好や趣味と考えず「やめたい」「減らしたい」と喫煙習慣を続けたくないと思う人も多い。そして、その中にはやめたくてもやめられない、禁煙を試みたけど失敗に終わってしまったというような「ニコチン依存症」という「病気」の人が多く存在するのである。


禁煙外来ってどんな治療?いくらかかる?

やめたくてもやめられない「ニコチン依存症」という「病気」なら「禁煙外来」に行って治療をしてみてはどうだろうか。禁煙外来のコマーシャルなどを見かけてどのような治療をしてどのくらいの費用がかかるのかと気になっている人もいるだろう。

禁煙外来は、初回診察時に喫煙状況から健康保険適用かどうかを確認し、禁煙補助薬選択と禁煙のアドバイスを受けるところから始まる。医者と相談しながら「禁煙開始日」を決め、「禁煙宣言書」にサインをして禁煙をスタートする。その後は2週間後、4週間後、8週間後に通院し、呼気一酸化炭素(タバコに含まれる有害物質)の濃度を測定したり、禁煙に関するアドバイスを受けたりする。

この時に医師に禁煙の現状をきちんと話してしっかりアドバイスをもらうことが禁煙を失敗しないコツのようだ。そしていよいよ12週間後、5回目の通院で治療が終わり、ここで晴れて非喫煙者となれる。

次に費用面だが、処方される薬にもよるが健康保険適用(自己負担額3割として)で1万3000円から2万円程度が目安となる。毎日1箱のタバコを吸う人の12週間のタバコ代を3万5000円前後と考えると、保険治療で診療を受けたほうが安い計算だ。

また、保険適用されない人が受ける自由診療は4万3000円から6万7000円くらいになる。それでも毎日1箱吸って1年で15万円前後なら治療を受けたほうが安い計算だ。さらに民間の生命保険会社の中には喫煙者に比べて非喫煙者には2割から3割も保険料を割り引く制度を取り入れているところもある。ただし、喫煙者か非喫煙者かどうかはニコチン検査で判定するため、禁煙後約1年前後に加入を検討するとよいであろう。たった1本の喫煙でも検査では判明してしまうので注意が必要だ。


禁煙治療は保険適用の拡大も検討

1990年代後半から自由診療で禁煙法を行う病院が増え、その後2006年4月1日から一定の基準を満たす患者を対象に健康保険の適用が始まった。禁煙外来の保険適用はどのような人が対象になるのだろうか。次の5つの項目が基準に挙げられる。

①ニコチン依存症スクリーニングテスト(TDS)で10問中5問該当の5点以上(ニコチン依存症と診断)の人。「禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか」などの設問で、タバコを吸っている人であれば、該当項目が5問以上ある人は多いだろう。

②ブリンクマン指数(1日の平均本数×喫煙年数)が200以上の人。つまり、1日20本吸う人で10年の喫煙歴、1日10本吸う人では20年の喫煙歴が必要となる。

③1か月以内に禁煙を始めたい人。

④禁煙治療を受けることに文書で同意している人。

⑤1年以内に健康保険適用で禁煙治療をしていない人。1度失敗していても1年以上空いていれば再チャレンジができるということになる。

しかし、この5つの基準で②のブリンクマン指数の200は1日の本数が少ない人や喫煙年数の短い若年層には健康保険適用の高いハードルとなっている。

そこで、厚生労働省はこのブリンクマン指数の「200以上」の撤廃に向けて15年10月から検討に入ったようだ。健康保険適用者を拡大することによって一時的には医療費拡大も懸念はしているものの、若年層の喫煙者を減らすことで喫煙が引き金となる肺がんや脳卒中などの病気の罹患者を減少させ将来医療費の抑制につながると考えているようだ。早ければ16年度あたりから健康保険適用者の拡大が期待されるであろう。

もっと禁煙外来が知られ、健康保険の適用者が広がることで喫煙、受動喫煙による病気が減ること、禁煙が家計の出費を減らす助けになることを期待したい。


廣木智代 ファイナンシャルプランナー(CFP)
結婚後、家業のスナックで手伝いをしていたが母の引退と共に廃業。家計の苦しさを埋めるための保険見直しをきっかけに、「お金に賢くなる」お手伝いをするべくCFP資格を取得。心と体とお金の健康バランスを軸に、個別相談、セミナー、執筆を展開中。 FP Cafe 登録FP。

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