(写真=PIXTA)
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全国の金融機関で国民健康保険加入者の「特定健康診査(メタボ健診)」や、健康診断などを受けた預金者を対象に、定期預金等の金利上乗せをするサービスが増えている。

銀行が自治体や健保と連携

横浜銀行では協会けんぽ神奈川支部と連携して「協会けんぽ加入者さま限定 横浜銀行スーパー定期特別金利キャンペーン」をおこなっている。通常の3か月ものスーパー定期預金の金利(2015年12月14日現在0.025%)に年利0.4%上乗せ(3か月では0.1%)するというものだ。

北海道の日高信用金庫では、「健康サポート定期積金」の店頭金利(同12月15日現在3年未満0.025%、3年以上0.03%)に年利0.3%を、「健康サポート定期預金」ではスーパー定期1年もの300万円未満の店頭金利(2015年12月15日現在0.025%)に年利0.3%を上乗せする。

仮に百万円で利用すると税引き後(復興特別税を除く)の利息は店頭金利では200円、上乗せ金利では2600円になる。0.3%上乗せとは店頭金利(0.025%)の12倍であるから低金利下においてこの差は大きい。

そのほかには、熊本県信用組合は県内自治体の多良木町や高森町と連携し「けんしん健康増進定期預金」を取り扱っている。国民健康保険や後期高齢者医療制度の健康診断を受診した預金者にはスーパー定期1年ものが年利0.2%上乗せになるというものだ。

かながわ信用金庫と湘南信用金庫でも横須賀市との連携で「よこすか生涯現役定期預金」を発売しスーパー定期預金1年ものに0.1%の金利上乗せをしている。

さらに、がん検診に対する取り組みもある。JA岐阜信連では、スーパー定期預金1年ものや定期積金の預金者は「JA乳がん検診クーポン」がもらえ、岐阜県内の厚生病院で利用できる(取扱は12月30日まで)。

西中国信用金庫では「にししんがん検診応援定期預金」という、がん検診の受診者のスーパー定期1年ものが年利0.2%上乗せとなる。

国保や健保で実施されている「メタボ検診」

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)はいわゆる「メタボ」と呼ばれ、生活習慣病の予備軍となる。男女とも40歳以上では男性が2人に1人、女性は5人に1人の割合である。

メタボ検診は40歳以上74歳が対象で、国民健康保険のほか、健康保険組合でも実施されている。受診費用は個人負担であり1000円~2000円程度。自治体によっては無料のところもある。

そして、メタボ健診で生活習慣病や予備軍だと診断されると特定保健指導の対象になり、保健師などの専門家と共に食生活や運動などの目標を立て生活習慣改善に取り組む。

なぜこのようなサービスが増えているのか?

自治体と連携して金利上乗せキャンペーン商品を発売するのには双方に理由がある。医療費を国や自治体が負担する公費負担は高齢化や食生活の偏りなどにより年々増え続けている。一方で、健康診断を受けている人は受けていない人に比べ医療費が抑制されているとのデータがある。検診受診者で症状が進んでいる場合でも指導改善を積極的に受けることでも医療費が抑制されることがわかっている。

そこで、自治体としては生活習慣病などの可能性が高い人を早期に発見して医療費の公費負担分を抑制したい考えだ。一方の金融機関としては新たな預金者の獲得につながる期待もあろうかと思うが、地域との連携を深められる効果や社会貢献活動へつながる期待のほうが大きい。

例えば、横浜銀行が協会けんぽと連携するのは神奈川県が掲げる「未病を治すかながわ宣言」への取り組みに対する活動である。JA岐阜信連は乳がん検診の早期受診を啓蒙している「ピンクリボン運動」に賛同しての取り組みである。このように双方にメリットが感じられる活動であるからこそ取り組みが広がっていると考えられる。

利用の際に注意したい3つのポイント

このような金利上乗せなどの預金は、主にはその自治体の国民健康保険での特定健康診査(メタボ検診)の受診者が対象になるため、年齢40歳~70歳の自営業者や農業者が主な対象者だ。会社員が利用できるものとしては前述の横浜銀行(金利上乗せ)やJA岐阜信連(乳がん検診)、西中国信用金庫(がん検診)の例がある。

そのほかのメリットとしては「マル優(障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度)」が適用になるため、対象者は上乗せ金利分も非課税となる。

利用する際に注意しておきたいポイントは、(1)1人当たりの加入限度額や口数に限度がある(2)中途解約時には中途解約利率が適用される(3)預入期間が限定されていることだ。

自治体独自での企画も――岡山県総社市、広島県府中市

最後に自治体独自での企画を紹介したい。岡山県総社市では国民健康保険加入者で一定の要件に当てはまる場合「健康で1万円キャッシュバック」を行なっている。

広島県府中市は、特定健康診査(メタボ検診)を2年連続受診の際には受診料が半額になる。3年連続の際には無料になることに加え、インフルエンザ予防接種が同一家族も無料になり、公共体育施設の利用料も助成されるといった特典がある。

健康になってお金もふやせる制度。利用できる環境にあるならば積極的に取り入れて、マネープランの充実をはかりたいものである。

中谷俊雄 FPオフィスライズ 代表
個人相談、法人の福利厚生メニュー「FP相談室」、各種マネーセミナーを開催、FP技能士資格の取得講座は累積2000時間を超える。著書に『ズバリわかる!FP技能検定3級』(ナツメ社)がある。帯広コア専門学校・札幌学院大学非常勤講師。

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