(写真=PIXTA)
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気をつけたい毎月分配型ファンド

一時期の勢いがなくなったとはいえ、依然として根強い人気を誇る毎月分配型ファンドですが、実は、あまり積極的にはオススメできない商品なのです。毎月分配型ファンドのダメな点をお伝えしましょう。

まず一つ目は、頻繁な分配は課税を早めることになるからです。例えば、1年に1回、年末に分配するような投資信託と比べると、毎月分配型ファンドは最高で11ヶ月も税金のかかる時期が早まることになるわけです。運用するうえでは「受取早く、支払は遅く」することが大事な考え方になります。つまり、「毎月分配」により税金の支払が早まることは運用上は例外なく「マイナス」に働きます。

そして二つ目は、「人類最大の発明」などとも形容される「複利の効果」を活かすことができないからです。複利とは利子に利子が付く、という考え方です。運用によって元本から生まれた利子を、次に運用する際の元本に組み込む、というやり方になります。投資信託ですと、分配金を分配することなくこれからの投資に回し、その分配金にも利子が付くことで運用資産が増加するスピードを速めることができます。つまり、毎月分配型ファンドはこの複利の効果を、そもそも活かすことができない仕組みになっているわけです。

なぜ毎月分配型ファンドが依然として人気なのか

以上のようにあまりオススメできない、投資家からするとデメリットの多いファンドである毎月分配型ですが、なぜ依然として人気なのでしょうか。心理学を用いて毎月分配型ファンドを買う人の心理を見ていきましょう。

まず、人間は「将来の利益よりも、目先の利益を追い求めたがる」性向があります。つまり、すぐ手に入る利益ほど過大に見る傾向があるのです。ここから、毎月分配型ファンドは長期投資に不向きであることは分かっていたとしても、「毎月分配金を受け取れる」という点を過大評価し、目の前の利益を優先してしまうと分析できます。

また、イメージ先行で「毎月分配型ファンドが良い商品である」と捉える人もいます。人気のあるファンドだと言われれば、皆が買っているから安心だ、つまり良い商品だと考えるのです。そのため、何が良いのか判断する自信がない人ほど「他の人も買っているなら私も買おうかな」という心理が働くのです。

ほかにも、プロスペクト理論と呼ばれるモデルを用いても毎月分配型ファンドを購入する動機を捉えることができます。「損をしている状態では、リスクが大きい状態を好む」という人間の傾向を言いますが、例えば投資信託の基準価額が値下がりしている場合、基準価額が変動しないよりも、より変動のある状態が好まれる、という現象になります。毎月の分配金がこの役割を果たし、基準価額の値下がりに対する危機感が薄れ、放置しがちとなるのです。毎月分配型ファンドを継続して保有する傾向が多く見られるのはこのためとも言えるのではないでしょうか。

心理的な影響を取り除くには?

それではこうした心理的な影響によって、本来すべきではないことを行わずに済むようにするにはどうすればよいでしょうか。

まず、人間は損失回避的であり、損失を回避しようとするあまり合理的な行動がとれなくなるものです。一度立ち止まって、ご自身が今しようとしていることは果たして本当に合理的なのか、感情に左右されていないかどうかを考えて行動すべきでしょう。

次に、選択肢が多いほど人間は麻痺させられる傾向にあります。つまり、何を選んで良いかわからなくなった結果、つい相対的に良さそうなものを選びがちということです。本来、ご自身にとって必要のない、運用すべき対象ではないファンドを選んでしまっていませんか? ファンドの中から選ぶのではなく、ご自身の考えや目的から選ばなければ、適切な投資行動をとっているとはいえません。

また、さまざまな情報を得れば得るほど、最適な投資の意志決定を下すことも難しくなります。誰かに言われた、人気があるといった情報から選択すると失敗に陥るものです。投資を行う上では、本当にこれでよいのか、最適な意思決定なのか、疑ってみることも重要です。

投資の目的は、これから少しでも資産を増やすことです。一つ一つの金融商品ごとに「勝った」「負けた」を競うものではありません。ご自身の行動が、投資の目的に沿った状態になっているか、感情や勢いなどに流されていないかを、一度冷静になって考えてみてもいいかもしれません。(提供: ファイナンシャルスタンダード株式会社

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