(写真=Thinkstock/Getty Images)
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活発な物件取得と追加投資口の発行

2016年年明け早々、REITの追加投資口の発行が続いている。ジャパン・ホテル・リート <8985> が投資口を追加発行し、カンデオホテルズ上野公園を取得、森ヒルズリート <3234> も投資口を追加発行し、六本木ヒルズ森タワーを取得している。

両者とも発表している物件価格はやや高めに感じるが、追加投資口で調達する資金を物件の取得資金に充当する予定だ。市場ではなかなか安く物件を購入できないため、投資家からのファイナンスがしやすい環境を利用し、なんとか物件を購入している状況がうかがえる。

高い時期に購入しているのは何故か

不動産市場においては、2016年も引き続き不動産価格の高騰が続いているが、REIT投資法人はなぜこの物件価格が高い時期に収益物件を購入するのであろうか。

理由の一つとして、投資法人は不動産賃貸業だけをやっている会社のようなものなので、会社の収益を大きくするには収益物件を購入するしかない。不動産会社の様に好調の分譲マンション事業などが出来ないため、投資家から資金が集まってくれば、高くても収益物件を買って賃貸収入を増やすことで配当原資を作るしかない。そのためREITは今時の様に物件価格が高い時期であっても常に収益物件を買わざる得ない状況下にあるのだ。

物件価格が高騰している時は、利回りが低くなるため、REITは物件を買いにくくなる。物件価格が低い時に高利回りの物件を購入出来ればベストであるが、実はそれも上手くいかない。物件価格が下落している時は、金融機関の融資姿勢が厳しくなり、また投資家から出資も集められないという厳しいファイナンス状態が続く。そのため、物件価格が安い時期も、結局のところ物件は買いにくいのだ。

ところが同じ買いにくい状況であっても、どちらかと言うとファイナンスが緩くなる好況時の方が、資金が集まるため物件は買いやすい。REITからすれば、物件を買いにくい状況の中でもなんとか買っている状況と言える。

物件を高く買うケースとは

REITが物件を高く購入する理由としては、戦略的に高くても購入するパターンと、そうでないパターンの2つがある。

戦略的に買うパターンは、REITの中で看板物件を購入する場合である。看板物件とは、いわゆる良く知られた大型物件で、なおかつ写真写りの良い物件だ。このような看板物件を投資家向け目論見書の物件写真に掲載すると、投資家の印象が良くなるため、あえて突っ込んだ価格を提示して物件を購入する場合がある。これは投資法人が上場の初期段階で良く見られる投資行為だ。収益的には低いポートフォリオであるが、今後、投資家から出資金を集めやすくするための戦略物件となる。このような看板物件は、数も少なく今後の投資法人のイメージ戦略に寄与する。そのため、高い価格でもなんとか看板物件を購入することは、投資家にとってもプラスの影響を与える投資と考えることもできるのだ。

一方で、既に認知度も高いREITが、不動産市況が高騰している時期に、追加投資口を発行してでも物件を購入しているパターンについては、投資家は多少慎重になるべきである。

REITが利回りの低い物件をポートフォリオに入れるということは、分配金利回りを下げることに繋がる。当然ながらREITは複数の物件の利回りを総合して配当原資を生み出しているため、1つだけ利回りの低い物件を購入しても、突然、分配金利回りが下がることはない。他に、いかに高い利回りの物件をたくさん持っているかで、その投資法人の分配金利回りは決まってくる。

本来であれば、投資法人の全体のNOI利回り(Net Operating Income、賃料収入から実際に発生した経費のみを控除した純収益)は5.5%をキープされていることが望ましい。しかしながら、ここ数年は、各投資法人の利回りは低下傾向にある。

今のREIT市場を支えているもの

このように投資法人の保有するポートフォリオ全体の利回りが低下傾向にあるのに、配当が生み出せている理由は、超低金利政策によって金利が低く抑えられているからである。

現在のREIT市場は、賃料に力強い上昇感が見られないため、低金利によって市場が支えられている。日本の景気そのものは上昇傾向にある中、金利だけ低いというのは、やはり異常な状態である。昨年末、アメリカがようやく金利を引き上げたが、やはり景気が上がれば日本のいつかは金利が上がると警戒しておくことが自然だろう。

気になる金融機関のファイナンス

また投資家にとって、気になるのは金融機関の融資姿勢である。景気が回復していることで、借入によるファイナンスもしやすくなっているはずであるが、今の金融機関は、リーマンショック前ほどのリスクは取っていない。リーマンショック前は開発型証券化と言って、物件が建つ前の更地の状態でも金融機関が融資を行い、そのまま物件を証券化するというスキームが流行った。

以前は、開発リスクに対しても金融機関が融資を行っていたが、リーマンショックを機に開発が頓挫するケースも多かったため、今ではそこまでアグレッシブな融資をする金融機関はいない。リーマンショック前と比較すれば、今の金融機関の融資姿勢は抑え気味と言って良い。

金融機関がリスクを取らなくなってくると、出資者が取るリスクの比重は高くなっていく。仮に金利が上昇して時価総額が下がった場合、物件価格の毀損部分は投資家が最初に被ることになる。金利が上がっても物件価格が毀損しないためには、賃料が上昇する必要がある。実体経済が回復基調にある今は、もう少しの辛抱かもしれない。ファイナンスの見極めにおいて、今後の金利と賃料の動向には注意が必要だろう。(ZUU online 編集部)

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