(写真=PIXTA)
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最近「おひとりさま相続」という言葉が、だんだんと世の中をにぎわせるようになっています。

遺産相続といえば、「夫から妻へ(or妻から夫へ)」「親から子へ」「祖父母から孫へ」……といった間柄で行われるイメージが強いですね。しかし現在は家族のあり方が大きく変化しています。その流れから、相続人がすぐに見当たらないという方が近年、確実に増加しています。

このような方が亡くなった場合、相続人になった方の手続きが思い通りに進まなくなるケースが目立っています。以下のどちらかにあてはまる方は、早めに相続の準備を進めておくことが望ましいでしょう。

・周囲を見渡したときに「自分の財産を受け継いでくれる家族が誰なのかわからない」または「疎遠な親戚が相続することになりそう」という方(ご自身が「おひとりさま相続」の被相続人になりそうな場合)

・叔父や叔母といった、少し離れた親戚の財産を受け継ぐ可能性がある方(ご自身が「おひとりさま相続」の相続人になりそうな場合)

「おひとりさま相続」がクローズアップされる背景とは

「おひとりさま相続」という言葉が最近、定着している理由を整理してみましょう

1.日本全体で、近親者を持たない方が増えつつある

核家族化はすでに何十年も前からはじまっていましたが、それに加えて最近は少子化や晩婚化が顕著です。また、結婚した夫婦の約三分の一が離婚する時代でもあります。こうした理由から、法定相続人が減ってしまう、あるいはゼロになってしまうパターンが国全体で増えているのです。

※たとえば、以下の条件すべてに該当するときは法定相続人が皆無になります。

・独身で、子供を持たなかった場合
・両親や祖父母がすでに亡くなっている場合
・兄弟姉妹がいない場合

2.近親者がいない場合、相続の際に税率が高めになってしまう

以下のいずれにも該当しない方が相続する場合は、相続税が2割高くなります。

・配偶者(夫or妻)
・直系卑属(子や孫)
・直系尊属(親や祖父母)

したがって、兄弟姉妹や甥・姪、あるいは遺言で指定された方が相続をする場合は、金額の面で不利になるといえます。

3.平成27年の法改正で、相続税を課される方が増えている

平成27年の税制改正で、基礎控除額が前年までの6割に下げられました(以下の表を参照)。この影響で、相続税を納める義務が発生する方は全国的に増えています。

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※相続人が多ければ基礎控除額も増えるわけですが、家族が少ない方の場合はその手は使えません。言い換えますと、相続人が少ないと納付する相続税が高額になる傾向があります。

以上のように、現在はおひとりさま相続が増える傾向にあります。
それに加えて、納税額の点で損をするパターンも少なくないのです。

おひとりさま相続の可能性がある場合は、早めに準備を進めましょう

おひとりさま相続では、被相続人と相続人の関係が希薄であることが大半を占めています。したがって、じゅうぶんなコミュニケーションをとらないまま相続がはじまってしまうケースも多いです。しかしそれでは、損をしない相続対策を行うことは到底望めません。

ご自身がおひとりさま相続の当事者になる可能性がある場合は、どうすれば無駄のない対策ができるのか、余裕があるうちに検討したほうがよいでしょう。

※遺言等については弁護士の領域ですが、課税関係の手続きについては税理士の専門分野です。不明点等がおありのときは、お気軽にご連絡ください。もちろん、秘密は厳守いたします。

奥田周年(おくだちかとし)税理士。 OAG税理士法人
資産税部部長執筆書籍は、遺産相続と相続税がよくわかる本(日本文芸社:監修)、ずるいぞ!その相続(かんき出版:編著)、Q&A相続実務全書(ぎょうせい刊:共著)等多数。相続税・贈与税の専門税理士でチーム相続を組織し、 メディア を主宰。

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