バーキン
ジェーン・バーキン(左)とセルジュ・ゲンズブール(写真=Getty Images)

S&P500と金、エルメスのバッグ「バーキン」の3つを投資対象として比較したところ、株価は市場での変動が激しく、金も価格が変動する一方で、バーキンだけが1984年の発売当初から一度も下落することなく毎年その価値が14.2%上昇しているという--。

インターネットで高級バッグを再販するBaghunterが発表したこの調査結果は、バーキンが最も安全で安定した投資対象であると結論づけて話題になった。

Baghunterによると、ラグジュアリー市場は少なからず景気に影響を受けるが、ウルトラ・ラグジュアリーと呼ばれる、より高価なブランドの市場は株式市場のように経済要因に左右されにくく、バーキンはまさにそのセクターに含まれると述べている。

バーキン誕生秘話 あまりに人気でいつ入手できるか分からない?

数あるラグジュアリー・ブランドの中でもエルメスは別格とされる。中でもバーキンは、ケリーバッグ、オータクロアと並んでエルメスを代表するアイコンといっていい。

1984年、第5代社長のジャン・ルイ・デュマ・エルメスが俳優ジェーン・バーキンと飛行機で偶然隣り合わせの席になり、彼女がボロボロの籐のかごバッグを使っているのを見て、何でも入れられるバッグをプレゼントしたいと申し出たことから生まれたとされている。

サイズや色はもとより、革や金具の素材によって多くのバリエーションが存在し、それによって価格が異なる。目安として最低でも100万円程度から、クロコダイルなど希少な革素材を使用したものでは数百万円するものもある。

ちなみにワニ皮を使った「バーキン・クロコ」についてバーキンさんは、ワニの養殖過程や殺し方を問題視し、エルメスが国際的な製造基準を満たすまで、名前を使わないよう求めていたが、昨秋、両者は和解している。

商品としてのバーキンの特徴は、フォーマルはもちろんカジュアルにも使えてたくさんのモノが入れられ、丈夫で長持ちするという実用性とが挙げられる。

しかし何といってもその価値を決めているのはクオリティの高さと希少性だ。定番のデザインであるのも関わらず、そのクオリティーを保つために生産数は限られており、店舗では常に売り切れの状態であり、入荷してもすぐに売れてしまう。

そのためウェイティングリストに名前を載せてもらえたとしても、何年待てばいいかも分からないほどだ。とてつもなく高価でありながら、それでも手に入れられるまで待つ人が多いのは、それだけの魅力と価値が感じられていることの表れだ。また数多くのセレブや著名人が顧客として名を連ねていることも、ケリーバッグに対する憧れを高めている。

エルメスにはマーケティングセクションがない?

エルメスの基本方針はクオリティにこだわることと希少性を維持すること。そのため通常のビジネスに見られるようなマーケティングは行わない。エルメスが最も恐れているのは、多くのエルメス商品が出回り、「どこにでもある商品」になってしまうリスクであり、量産するために商品のクオリティを下げてしまうことだ。

そのため、売れる見込みを立てて生産数をむやみに増やすことなどはせず、供給量を「適正なレベル」にコントロールしている。求める人が多いにも関わらず手に入れにくい状態を維持することで希少性は保たれ、価値は増す。

「エルメスにはマーケティングセクションは存在しない」と言われており、代わりにクリエイティブ・ディレクターを任命してエルメスの商品開発やクオリティコントロールを行っている(現在はナデージュ・ヴァニー・シビュルスキー)。

マーケットインではなくプロダクトアウト

エルメスのビジネスの仕方は、マーケティング用語で言うマーケティングリサーチやセグメンテーションなどの「マーケットイン」ではなく、商品ありきの「プロダクトアウト」だ。

ブランドを売ることは現代のマーケティングでの定石だが、エルメスは敢えて「商品を売っている」と言っている。これはブランドの価値は商品に凝縮されており、商品によってのみその価値を顧客に届けられるとの信念からだ。

コンピューターの世界ではAppleが同様の信念をもっている。両者に共通しているのは、商品のクオリティーに徹底的に拘ることだ。そしてそのベンチマークは競合他社の同じような商品ではなく、使う人の満足感をどれだけ満たすことができるか、ということだ。

エルメスが商品づくりで最も重要視しているのは、最高級の素材に徹底的にこだわり、熟練した職人が一点一点ハンドメードで丹精込めて作り上げる恐ろしく高いクオリティーだ。

バーキンの生産数が限られているのは、バーキンに相応しい素材が調達できない限り生産を行わないからとも言われている。例えば最高級の素材とされるクロコダイルはその調達が近年特に難しくなり、そのためクオリティの高い素材を確保するためにオーストラリアにて自社でクロコダイルの飼育を始めたほどだ。

エルメスはその希少性から「売るのをもったいぶっている」と言われることもあるが、それはエルメスの価値を維持するため、商品のクオリティーを高いレベルに保つためのもの。それによってバーキンはまさに垂涎(すいえん)の的となり、所有する喜びを与えてくれる存在となったのである。(ZUU online 編集部)

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