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Written by 長尾義弘(ながお・よしひろ) 47記事

楽しく学ぶ「お金」の教養講座

独身男性が「家計簿」をつけるようになった理由

(写真=Thinkstock/Getty Images)
(写真=Thinkstock/Getty Images)

私が「1日5分でできる お金に困らなくなる黄金の法則」(河出書房新社発行)を出版した時の話です。その本についてのインタビューを受けたことがありました。その時のインタビュアーは、編集担当者とライターで、30歳代前半の男性2人でした。

そのインタビューの中で、家計簿の話になりました。1人は家計簿をつけているそうです。もう1人は、家計簿をつけようと思っているが、できないことに後ろめたさを感じているそうです。50代の私には、ちょっとしたジェネレーションギャップでした。私は、家計簿というのは、年末の婦人誌の特大付録のように、主婦向けだと思っていたからです。しかし、最近は若い独身男性なども家計簿をつけていることが多いそうです。

彼らの話では、スマホの簡単な家計簿アプリがあり、買い物をしたレシートの写メを撮るだけで自動入力したり、銀行やカードの支出や収入も自動取得できるようになっているそうです。家計簿をつけている彼は、毎日の買い物で、高いものを買った翌月は、節約をしていこうとか、無駄遣いをしないように、気にしながら暮らしているといいます。日々の食費などを気にしながら、生活をしている実態にちょっと驚きました。

お金を貯めるために家計簿をつけたものの…

彼らの話を聞きながら(インタビューを受けに行ったのですが、逆にいろいろ質問をしてしまいました)、思っている以上に若者の貯蓄意識は高いのだと思いました。

しかし、よくよく話を聞いてみると、いつの間にか家計簿をつけることが目的になっていて、本来のお金を貯めることができていないみたいです。家計簿をつけた場合は、それを分析する必要があります。分析をするとお金の流れが分かり、節約できる部分が見えてくるのです。節約ができなければ、お金を貯めることはできません。

では、なぜ、若者が家計簿をつけてまで、お金を貯めようとしているのでしょうか? もちろん、給料が少ないというのも理由の一つでしょう。しかし、問題の本質は現在の賃金よりも「将来入ってくるお金(生涯所得)」が、このままでは増えない可能性が高いことにあります。つまり、現代社会に生きる私たちの消費行動は、今の所得だけではなく「将来の所得」の影響を受けるのです。これは経済学者モジリアニらが提唱した「ライフサイクル仮説」を使って説明できます。

人は「将来のお金」も計算しながら消費する

「ライフサイクル仮説」とは、個人の消費行動は、一生涯に得られる総所得(生涯所得)を考えて消費するという理論です。つまり、私たちが現在のお金を使っているのは、無意識のうちに「将来入ってくるだろう」というお金も計算に入れながら使っているということです。

ちょっと分かりにくいですよね。具体的に例を挙げながら説明しましょう。1990年頃の日本は、バブル景気真っ盛りで、賃金体系は年功序列でした。給料も右肩上がりでどんどん増えていた時代です。年金問題もありませんでした。経済もどんどん伸びていくし生活も豊かになると信じていました。老後の心配もせずに、どんどん消費できるという雰囲気でした。

個人の意識でいうと、60歳定年になるまで、給料は上がり、企業年金と厚生年金があるので老後の不安も大きくありません。貯蓄をする必要がなく、お金を使っていても大丈夫と思われていました。また、若者はローン(借金)を組んでも、年々給料が上がるので返済ができると考えていました。20代、30代の人がローンを組んで、将来の所得で返済をする。つまり、一生に使うお金を平準化しているのです。

将来の所得が見えない「不安」が消費を抑制している

現在の状況を「ライフサイクル仮説」に当てはめて考えると、どうなるでしょうか。実質賃金は、何年も下がり続けています。65歳まで定年が延長になっても、55歳ぐらいからは給料も下がることが予想されます。年金に関しては、65歳から支給されますが、それも70歳に変更されるかもしれません。年金支給額も下がっている状況で、当てにはできません。心配ですね。

若者は、将来の所得を当てにはできないために、ローンを組むことができません。クルマでさえ買うのを躊躇してしまいますね。生涯所得よりも、生涯で消費するお金が多いと破産です。借金を踏み倒すしかありません。

最近の若者は低欲望世代とも言われます。若者のクルマ離れ、酒離れ、タバコ離れという背景には、生涯に受け取る所得が少なくなることを「肌感覚」で予測して消費行動を抑制していることに原因があるのかもしれません。

できるだけ消費を減らし、ローンを組まないで、将来のために貯蓄をするというのは、結果的に生涯所得を平均化するという消費行動をもたらしています。政府は、労働者の賃金を上げようとしていますが、なかなかうまくいっていないみたいです。もし、賃金が上がっても、それが将来にわたって継続するという「安心感」がなければ、消費の本格的な拡大は難しいのではないでしょうか。人は、一生に使うお金を平準化しているのです。

さて、今回のコラムはいかがでしたか? 「楽しく学ぶ『お金』の教養講座」では、行動経済学のスパイスを少し入れて、お金が貯まらない人の習慣、お金が貯まる人の習慣など、私たちが生きるうえで大切な「お金の話」を紹介します。焦る必要はありません。少しずつ、お金の教養を身につけていきましょう。

長尾義弘(ながお・よしひろ)
NEO企画代表。ファイナンシャル・プランナー、AFP。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。著書に『お金のツボ』(モバイルメディアリサーチ)『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『怖い保険と年金の話』(青春出版社)『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』『お金に困らなくなる黄金の法則』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)。監修には別冊宝島の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。

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