(写真=Thinkstock/Getty Images)
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マイホーム取得や子供の教育、老後などに備えて長期投資を考えている方にはETFを活用した分散投資を選択肢に入れていただきたい。ここでは、ETFに馴染みのない方のために簡単に説明したのち、その特徴を活かしてリスクを抑えた長期分散投資を紹介します。

ETF最大の魅力は低コスト

ETFはExchange Traded Fundの略で、ETF投資信託とも呼ばれるように投資信託の一種ながら、むしろ株式に近い性格を持つ金融商品。投資信託同様に複数銘柄で運用するものが大半だが、大きく異なるのは、売買の仕方や、価格の決め方、そしてETFの最大の魅力である投資コストだ。

もうひとつの特徴として、ETFは証券取引所に上場されているため、取引時間中はリアルタイムに価格が変動し、取引時間中は常時売買ができる。また、株式と同様に指値注文ができ、売りから入ることもできる。これに対し投資信託の基準価格は1日1回定時に算出するため、売買価格を指定することができず、空売りもできない。

売買手数料や運用報酬などのコストはETFの方が大幅に安いことが多い。売買手数料はETFが0.3%程度、なかにはゼロというのもある。これに対し、投資信託は証券会社や銀行の販売手数料が高く、3%前後のものが多い。また信託報酬は保有期間中払い続けるコストだが、ETFの場合で年間0.5%以下、投資信託では同0.5%~2.5%といったところ。

つまり、購入初年度の年間コストはETFが1%未満であるのに対し、投資信託では4~5%程度になる。投資信託で着実な利益を出すのは超低金利という現状で簡単なことではない。

ETFは少額からも投資ができる

ETFの取引単位は種類や運用会社によって異なるが、最近では1口単位が増え、数千円から1万円台で買えるものも多い。対して投資信託は毎月千円単位の積み立て投資ができるものもある。税金は今年1月の法改正で金融商品は全て同じ扱いとなったため差はない。少額で投資はできるが、手数料負けしないように注意いただきたい。

国内外株式などETFの種類は豊富

投資信託協会が公表する登録ETFは1月下旬時点で145銘柄。その運用対象別の内訳は、国内株式106、外国株式20、外国債券2、その他(商品など)17となっている。

さらにその中身は多彩で、国内株式では日経平均やTOPIX等の株価指数や個別業種などが対象になり、外国株式と債券では米国、欧州など先進国に加え、インド、中国など新興国の指数に連動するものがある。また「その他」には原油や貴金属などのコモディティーのほか、不動産投資信託(REIT)も含まれている。

ETFを活用した分散投資を考えてみる

さて、これらのETFの特徴や種類を踏まえて分散投資を考えるわけだが、その前に明確にしておきたいことがある。それは投資期間とリスク許容度、つまりどれだけ値下がりに耐えられるかだ。また、分散投資では投資資産の割り振りだけでなく、時間的分散も考える必要がある。

まず投資期間だが、一口に長期といってもそれが1年、3年あるいはそれ以上かでも投資スタンスは変わる。例えば今後1年間に限れば、日本は金融緩和で低金利が続くのはほぼ確実視されており、最近急落している原油相場が大きく上昇する可能性は小さいかもしれないが、3年、5年後にはこれらが様変わりしていることも十分ある。

またリスク許容度を十分認識しておくことも重要だ。これには各人のライフプランが大きく関わってくる。子供の教育費であればその額や必要時期はある程度決まっているだろうし、家を買う時期もそれなりの希望があるだろう。資金が必要になる時点で、ある程度の損失が出ても許容でき、それよりは期待リターンの高い方がいいのか、あるいは損失を最低限に抑えて低いリターンに甘んじるかをよく考えておく必要がある。

一般に、リスクはあるがリターンも高いとされるのが株式やコモディティー、対してリスクが低く、着実にリターンを稼げるのは債券だ。従って、高リスク・高リターンの資産構成にするなら前者を多く、逆に低リスク・低リターンを選ぶなら後者の比率を上げるのがセオリーだ。

投資金額10万円でETFも活用したポートフォリオ事例

保守的な分散投資であれば株式系が20~30%、債券は70~80%といったところ。より「攻撃的」な投資なら株式系の比率を上げる。ではここで実際に分散投資を具体的に構成してみよう。初回の投資金額は10万円程度とする。

組み入れる株式ETFの代表格は、日経平均やTOPIX(東証株価指数)など株価インデックスに連動するもの。複数の運用会社が販売しているがほとんど差がないため、例えば最も純資産の多いTOPIX連動型上場投資信託 <1306> を20口、直近価格の約2万8000円で買う。次に債券だが、日本の国債や社債の上場ETFは見当たらないので、別途証券会社などから3年固定金利の個人向け国債7万円を購入する。

保守的な分散投資なら株式2~3割、債券7~8割

これで株式3割弱、債券7割強の分散投資になる。この場合、TOPIXが年5%上昇したとしても国債利回りは0.05%だから、年間リターン1.5%程度の最もオーソドックスな保守的投資といえるだろう。

これではつまらないという方は、自分なりの「読み」を反映してみてはどうだろう。例えば、1ドル115円よりも円高にならないという相場観であれば、1ドル115円水準の時には「上場インデックスファンド米国株式(S&P 500)」 <1547> や、「iシェアーズ米国債ETF(バークレイズ米10年国債)」 <1363> などの外国証券ETFを組み入れるのがよいだろう。

また、このところ低迷する原油や金の価格がいずれ回復すると思えば、「WTI原油価格連動型上場投資信託」 <1671> や「SPDRゴールド・シェア」 <1326> などがある。このほか、日本の特定業種や海外REITなどもあるが、あくまでも自分のリスク許容範囲内で資産構成を考えるようにしたい。

自分にあったETF探しを

上場されているETF銘柄を探すには日本経済新聞のWebサイトが便利だ。当日の価格はもちろん、連動する指数、運用会社、売買単位などが一覧できる。またETFの過去一定期間の騰落率や分配金の実績、組み入れ銘柄などの詳細はそれぞれの運用会社が作成する月次レポートを見ればわかる。

日々の投資リターンはWebサービスやスマホアプリなどに保有銘柄や数量を登録しておけばチェックできる。事前にこれらを使ったシミュレーションで投資感覚を掴み、それから実際に買い付けるのもよいだろう。

長期分散で知っておきたい投資手法「ドルコスト平均法」

最後に投資の時間的分散に触れておく。最も一般的で簡単なのは「ドルコスト平均法」と呼ばれるもので、毎月あるいは半年ごとなど定期的に一定額を投資する方法。資産価格が高いときは数量を少なく、また安いときは多く買い付けるため、毎回同じ株数を購入する等株数投資よりも、平均取得単価が下がる利点がある。これを基本に、その時々の経済情勢や市場見通しを織り込みながら資産構成リスクを調整してみてはいかがだろうか。(シニアアナリスト 上杉光)

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