(写真=PIXTA)
東京株式市場は年明け以降、波乱続きの展開となっている。2015年夏場の下落局面から昨年末にかけては戻りを試す展開となっていたものの、再び中国リスクが台頭し、相場が弱気に傾いているという見方が大方の予想だ。
中国経済の減速は既定路線ではあったものの、今や世界2位となった経済大国の失速はやはり世界経済に与えるインパクトが大きいということであろう。同じく足元で相場の波乱要因となっている原油安も、中国の減速が少なからず影響していると思われる。
では、このような相場の時でも高配当な銘柄に投資したい場合、どのような銘柄に投資すればよいのだろうか。景気の不透明感が強くなると注目されやすいのがディフェンシブ銘柄だ。ディフェンシブ銘柄は、景気動向に左右されにくく、安定的な業種の銘柄のことをいう。
相場が不安定な時には、ディフェンシブ銘柄への投資が効果的だと考えられている。
ディフェンシブ銘柄の特徴
具体的には、食品や医薬品、電力・ガス、鉄道、通信などに関連した銘柄をディフェンシブ銘柄という。どんなに景気が悪くなったとしても、食べ物や薬、電気などは過度に利用者が減少するということは考えにくい。生活をするうえで欠かすことのできないサービスを提供している企業というわけだ。
反対に、景気の動向に業績や株価が大きく左右される銘柄は景気敏感株と呼ばれる。素材や機械メーカーなどの業種がこれにあたる。
ディフェンシブ銘柄は、業績の急成長が期待できる銘柄ではないため、株価が大きく上昇するということは期待できないものの、不透明感が強まった相場においては投資対象として注目を集めやすいとされている。
高配当でもあるディフェンシブ銘柄
業績が比較的安定しているということは、それだけ企業の体力がしっかりしているため、安定して配当を出すことにもつながる。ディフェンシブ銘柄は高配当株であることも珍しくない。
2016年1月29日終値での会社予想配当利回りは、食品関連株では日本たばこ産業 <2914> が2.53%、キリンホールディングス <2503> が2.24%と比較的高い。
医薬品関連株では、武田薬品工業 <4502> が3.12%、第一三共 <4568> が2.82%、大塚ホールディングス <4578> が2.49%と高水準で魅力的な配当利回りだ。
通信関連株では、NTTドコモ <9437> が2.77%、KDDI <9433> が2.16%などとなっている。
東証1部全銘柄の平均予想配当利回りは1.73%となっているため、平均を上回っている上記のような銘柄は高配当銘柄と言えるだろう。
高配当銘柄に投資する際の注意点
相場の不透明感が強い時には、中長期的視点に立って高配当のディフェンシブ銘柄に投資するのは効果的だと思われる。
しかし、配当利回りが高い銘柄が良い銘柄かというと必ずしもそうとは限らない。配当利回りが上昇するのは、配当を増やした時と株価が下落した時だ。投資の際に注意が必要なのは株価が低迷している高配当銘柄だ。
株価が下落していく過程で、配当利回りが上昇していく銘柄というのは珍しくないため、株価の流れを確認する必要はあるだろう。株価は本来、業績によって評価されていくため、株価が中長期にわたり下落している銘柄というのは、業績が悪化している銘柄がほとんどだ。
そういった銘柄は将来的な株価の上昇が見込めないばかりか、業績悪化による減配という可能性も否定できない。配当はあくまで予想であるため、確定するまでは配当がどうなるかということはわからない。
ディフェンシブ銘柄といえども、相場全体の影響は多少なりとも受けるため、相場の動きによって株価が下落し、配当利回りが上昇している銘柄は過度に不安視する必要はないが、相場に関係なく株価が低迷している銘柄には注意が必要であろう。
高配当ディフェンシブ銘柄に投資する際には、業績不安が少なく、安定した成長を続けている銘柄を選ぶことが大切だ。
業績の見方
業績は、企業業績が記載された出版物でも確認することができるが、近年ではIR活動に力を入れる企業が増えているため、ホームページで決算短信や決算説明資料などの投資家向け決算資料を確認することをおすすめする。
企業の投資家向け決算公開情報というのは、どこも同じように見えて意外と差が出るものだ。決算短信などの決算資料はルールに従っていれば、必要以上に詳細な内容を記載する義務はないが、企業活動の状況を細かく説明してくれる企業は少なくない。
もちろんそれだけで企業の良し悪しを判断することはできないが、適切な情報公開が求められる昨今にあって、IRを軽視していると感じられるような銘柄は見送るのが妥当であろう。
業種によるものの、決算内容を確認する際には基本的には本業の状況を表す売上高と営業利益の推移を確認することが大切だ。配当などは営業外の損益状況や経費を差し引いた純利益によるものではあるが、業績が安定しているかどうかということは本業の稼ぎを確認することが必要であると思われる。
最終的な利益は一時的な要因で大きく増減することもあるため、企業活動の実態を捉えるには、安定的に売上高と営業利益が推移しているかといったことを確認するのが重要になろう。特に景気に左右されにくいとされているディフェンシブ銘柄の業績を確認するうえでは大切なことだ。
中長期的な視点で
足元の相場状況のように不透明感が強い時には、株への投資は不安が増すものだ。波乱の一因となっている中国経済の動向も簡単には改善するものではないため、不安定な状況が継続することも考えられる。
現在では、国内外の様々な要因で相場が変動するため、企業の個別要因だけで株価を形成していくことは難しくなっているのかもしれないが、個別株の株価は短期的に相場全体の影響を受けたとしても、中長期的には業績が評価されていくものだ。不安定な相場状況にあっては、景気動向に左右されにくいディフェンシブ銘柄の優位性は変わらないだろう。
高配当ディフェンシブ銘柄に投資する際は、配当利回りだけに注目するのではなく、株価動向や株価の背景となっている業績を確認することが大切だ。比較的、安定した業績が期待できる銘柄に絞ることができれば、ディフェンシブ銘柄は中長期的な投資対象として効果的だと考えられる。
高配当銘柄を買うには口座開設からはじめよう
ディフェンシブ銘柄に投資をするにはまず、証券会社に口座を開く必要がある。その際には、自らに合ったネット証券を選ぶことが重要である。今回は以下の2つのネット証券を紹介するので、是非参考にしてみて欲しい。
カブドットコム証券
プレミアム積立(投信)という、毎月500円から積み立てをすることが出来る投資信託サービスを提供している。スマートフォンからでも投資が出来るので、投資経験が少ない株初心者も利用しやすい環境である。投資の知識なども広く公開され、投資情報が得やすいのも魅力の1つ。母体が三菱UFJフィナンシャル・グループであるという点も、「カブドットコム証券」が安心して取引を行うことができる理由の一つとなるだろう。
SBI証券
ネット証券では最多の350万口座を誇る「 SBI証券」。最大手という安心感からか、初心者の人気が他のネット証券に比べると高いようだ。取扱商品が多いのも人気の理由である。外国株やIPO銘柄など、それぞれにおいて取扱数は他のネット証券を上回る一方で、ミニ株やPTS(時間外取引)など取扱商品の種類も豊富だ。