東京都民銀行

東京都民銀行(東京都港区、預金残高2兆3,417億円、融資残高1兆7,869億円、2013年3月期)と八千代銀行(東京都新宿区、預金残高2兆546億円、融資残高1兆3,768億円、2013年3月期)が平成26年10月1日付で経営統合のための共同持ち株会社を設立することを5月2日に発表しました。完全親会社の名称は「株式会社東京TYフィナンシャルグループ」です。この経営統合は両行の株主総会の承認及び関係当局の許可を前提としています。株式移転比率は完全親会社の株式数1に対して東京都民銀行は0.37、八千代銀行は1となります。会長は八千代銀行の酒井頭取、社長は東京都民銀行の柿崎頭取が就任する予定です。

八千代銀行と東京都民銀行は東京を地盤とする地方銀行ですが、店舗の分布において重複しているエリアが少なく、また、顧客層も東京都民銀行が中堅・中小企業が厚いのに対して、八千代銀行はもともと信用金庫であったこともあり、中小企業・個人が厚く、今回の統合によってより幅広い顧客層をターゲットにしようとしており、2020年には預金残高4兆6,000億円以上、融資残高3兆4,000億円以上、コア業務純益200億円以上を目標としています。

今回の東京都民銀行と八千代銀行の経営統合には大きな驚きは感じられません。常々、地銀再編は課題となっていましたし、数年前から首都圏の地銀再編は取り沙汰されていました。以前から東京都民銀行と八千代銀行はATMネットワーク等で協力し合っていましたし、顧客層・エリアの重なりが少ないことから経営統合効果は高いものと見られていました。また、今回の共同持ち株会社方式による経営統合には、今後の地銀合流も考えられます。

東京都民銀行と八千代銀行が経営統合したとしても、その預金量は未だ4兆1,286億円程度であり、11兆を超える横浜銀行や9兆半ばの千葉銀行にはまだまだ及びません。東京都民銀行や八千代銀行と同様に東京都に本店を置く東日本銀行や預金量で両行に抜かれた武蔵野銀行の動向に注目です。金融庁が地銀の再編を後押ししている中、今回の東京での地銀再編が始まったことにより、生き残りをかけ、地方における金融機関の再編も加速するとみています。